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ちょっとした昔話。

今日は、ちょっとした昔話を日記にしてみたいと思う。
私が小中高の子供だった頃、テレビは居間に一台あるだけで、自分のお部屋には無かった。これは私だけではなく数人いた友人も同じような環境だった。居間にテレビは一台。これが昭和の一般家庭の平均だったように思われます。
テレビが居間にしかないので、それなりの時間になると親から「寝なさい」という命令が下り、子供の立場である私も例にもれずスゴスゴと自分の寝場所に引き揚げていったものである。
引き揚げ先の自分のお部屋(私は中学3年生の時に初めて自分のお部屋をあてがってもらった)に戻ると当然テレビなどはないしスマホ等存在すらしていない時代。ゲーム&ウォッチはあったが、ゲーム音が親に聞こえると、うちの母は鬼の形相で「早く寝なさい!」と怒鳴ってくる事請け合いだった。母は8時間睡眠の呪縛世代なのでしょうが無いと言えばしょうが無いが、今思い出してもウザったい話である。
そんな当時の少年少女の寝る前の娯楽と言えばラジオだったりするんですね。そう、ラジオはなぜか音は立つがボリュームを絞るかイヤホンで聞いている分には親に怒られなかったのだ。
そこで、私が当時よく聞いていた深夜のラジオ番組を色々と思い出してみたので、記しておこうと思う。ちなみにネットでググれば色々と情報が出てくるのだが、面倒なのでここは私の記憶だけで綴ってゆきます。間違えているかも知れませんがご容赦を。あと私は関西人ですので、他地域のラジオ番組は分かりませんので悪しからず・・・。

小学生4年生位の頃は、兄がよく聴いていたのを一緒に聴く形で、「はーい浜村淳ですABC」という深夜と言うよりも今で言うレイトショータイムの番組だった。この番組の中盤で「こわ~い話、おもろい話」というコーナーがあって、投稿者の体験談を浜村淳の上手い語り部で紹介する物で、そのほとんどが怖い話の方だったので、布団に潜り込んでよく聴いたものである。小学生だったので、その後一人でトイレに行けなくなるんだよね・・・。(^_^;)
で、この頃には私は実は既にオールナイトニッポンを聴いていました。と言うのも兄が録音してくれていたんですね。で、兄は4つ歳上でしたが、深夜1時に始まる事もあって、長起きできるのは週末に限られており、聴いていたのは決まって笑福亭鶴光のサンスペのオールナイトニッポンでした。しかも60分テープなので聴けるのは最初の30分だけという・・・(笑)。今もやってるんですかね「つるこーでーーす!ワンバンコ!」という鶴光の声は今も鮮明に頭の中に記憶されております。今思うと下ネタばかりの内容だったような・・・。
ヤングリクエストという番組もありましたけど、小学生の私には歌の方はあまり興味も無く、少し聴いて寝てましたけど・・・。

これが中学生になってくると、自分用のラジカセなる物を兄のお下がりで手にするようになるわけですね。それに幾分長く起きる事も出来るようになってくるのと、FM放送も受信できたので聴ける番組が飛躍的に広がります。
土曜日になると楽しみだったのが14時から放送されるFM大阪で放送されていたコーセー化粧品が提供する歌謡ベストテン。その後に洋楽のポップスベストテンを聴いたり録音したり。そう、FM放送はステレオだったので良い音で録音して楽しめたんですね。よく走って学校から帰ったものです。
で、夜になるとAM放送になります(笑)。特に好きだったのがヤングタウンの木曜日。谷村新司とばんばひろふみが担当しており「心に残る大失敗」というコーナーが目当て。投稿者の失敗談を谷村新司が読み上げて、ケンケンのように笑うバンバンの声が更に笑いを誘う人気コーナーでした。
ちょっとマニアックな所では、月曜日の夜に新野新と笑福亭鶴瓶がやっていた「ぬかるみの世界」という番組。ディープな話題を二人のまったりとした会話が妙に引き込まれてよく聴いていましたね。

高校生辺りになってくると、バイトしたお金で買った自分専用のミニコンポを持つようになっています。ビクターのPC55というオートリバース付きコンポだったので120分テープで録音すれば120分の録音が出来ました。もちろんタイマー録音も出来ました。貸レコード屋で借りてきたレコードからの音楽録音も思いのままです(笑)。おまけに親の「寝なさい攻撃」などどこ吹く風でヘッドフォンで聴いていましたね~。
FM放送は専ら歌番組になってくるので割愛しましてやはり思い出に残っているのはAM放送ですね。
私は大阪と言っても京都に近い地域ですので、KBS京都の放送が拾えたんです。コレが大きかった。日本放送ではオールナイトニッポンは1時~3時までの第一部までしか放送されませんでしたが、KBS京都は3時~5時の第二部も放送されてたんですね。
よく聴いていたのがオールナイトニッポンの始まる前にやっていた「ハイヤング京都」と言う番組。今となっては金曜日の若宮てい子ぐらいしか覚えてないですけどね。このKBS京都のテーマソングになっていたのが尾崎亜美のmy shiny townという曲。FM802(当時はまだ無い)のヘビロテどころじゃ無いです。とにかく事ある毎にかかってました。この歌を聴いてニヤッとした人がいたら、その人はKBS京都を知っていますね。それ位かかってました。
本命のオールナイトニッポンは月曜日が中島みゆき。そうですよ、あの中島みゆきさんです。歌からは想像もつかないようなハイテンションな声色と番組進行は最高でしたね。初めて聴いた時は本当に中島みゆきなのか?と疑った程でした。あの人バラエティに出てたら今とは絶対にイメージ違っていたと思うけどなぁ・・・。それ位ギャップとインパクトがありました。それと火曜日の第二部だった山口良一のオールナイトニッポン。当時はプロレスブームでプロレス好きだった山口良一もよく話題にしてましたね。途中から金曜日の第一部に変わったような気がします(だからハイヤング京都の若宮てい子だけ覚えているのかも)。一番好きだったのは木曜日のビートたけしのオールナイトニッポン。今や伝説になっているのかな。色々な人と一緒にやっていたようですが、高田文夫と二人で進行していたのをよく覚えています。2時間全体的に笑えるのですが特に面白かったのが「中年エレジーコーナー」。中年のおっさんの失敗ネタ(もちろんネタです)の投稿をビートたけしが読み上げるのだが、あまりに馬鹿馬鹿しい物ばかりで、とにかく笑いましたね。たけしのオールナイトニッポンだけは録音しながら生で聴いて、翌日またテープで聴いてましたね。ビートたけしが歌う「たかをくくろうか」と言う歌がエンディングなのですが、この曲は今もよく聴きますね。土曜の晩、つまりサンデースペシャル(サンスペ)は1時~5時までの通しで相変わらず鶴光がやっていましたが、下ネタが多過ぎで正直あまり好きでは無く、後半はダレてきますので聴いていませんでした。

ヤングタウンの心に残る大失敗を聴き、ハイヤング京都を聴き、オールナイトニッポンに繋がって寝る。ラジオしか無かったけど、娯楽としては何だか今よりも充実した毎日を送っていたような気がしますね。
長くなったのでここらで終わります。

東南海の超巨大地震の予測について思う事。

私は人生を半世紀ちょっと過ぎた人間ですが、子供の頃から言われているこの手の話で「富士山の大噴火」の話があります。ざっと40年以上前から言われております。幼い頃の記憶は今でもよく覚えている物で、お昼のテレビでたまに特集をやっており、近所のドブ川のアブクの出方を見て富士山噴火の予測を立てているというおばちゃんがいた事も鮮明に覚えています。今も生きておられるのか、観測を続けておられるのか知らないが、はっきり言ってそんなもんで火山の噴火が予測できたら仰々しい設備も学会も必要ないし、強いて言うなら御嶽山の噴火による犠牲者も出なかった事だろう。
今日は、巷で事ある毎に言われている巨大地震の予測について
私になりの解釈と見解を記しておきたいと思います。

地震の予測または予知をして、天気予報のように「3日以内に地震が来ます」と予報を発するような事は、果たしてできるのであろうか・・・という命題にまずぶつかる訳ですが、これは地球物理学の専門家で現・東京大学名誉教授のロバート・ゲラー氏はあっさりと「地震の予知はできない」と断言している。同時に彼は「言えるのは、日本ではいつどこで地震が起こるか分からない・・・という事だけだ」と、これも断言しています。この偉い教授先生が言うからでは無いが、私も地震の予知は無理だと思っている。と同時に富士山の話からも火山噴火の予知も無理だと思っている。ただ火山は溶岩による膨張率を計測する事で、地震よりもまだ予知できるかも知れないとは思うが「3日以内に噴火するので避難してください」という予報を発するような予知は出来ないと思っています。
これに対して、予知が出来る事を前提に研究をしているのかどうかは定かでは無いが国土交通省はリスクとして「今後30年以内に70~80%の確率でM9を上回る南海トラフ巨大地震が起こる」と言っており、別の研究者は「40年以内に90%起こる」とまで言っている。私が最近テレビで見た話では「10年前後で東北の震災の10倍規模度巨大地震が東南海で起こる」と自信満々に語っていた研究者もいました。
一方で、予測できない派のロバート・ゲラー博士は、現在の予知研究について以下のように述べています。
1)日本にはまだ知られていない活断層が数多くあり、どれがいつ動き出すかも分からない。
2)過去の地震の履歴を調べてデータ化しても、周期的な規則性を計るには地質学的に時間が短すぎて、単なる記録集めの遊び事に過ぎない。
3)関東大震災、阪神淡路大震災、東北大震災、熊本大震災など、一つの事象が起こると、その後の地下断層などの状況も一変するので、それまでの断層やプレートの動きの記録は無意味となり、また一から記録し直して予測する必要があり、結局は人間の寿命的に学問としては成り立たない。
4)地震の発生前に、変わった雲が出ていた、発光現象があったなど、起こった後に色々と言われても、今後の予知には何の役にも立たない。
という事を語っておられます。
そう、学問として成り立たないってのが、地震予知の一つのメルクマールになってるんでしょうね。天気のように大気の動きや高度別気温等が目に見える形で計測できてデータ化され、ある程度規則性があって予測が付けば学問として成り立つが、地震は一揺れする度に地下の様子が変わり、しかも見えなければ予測は出来ようはずも無いし、後生に受け継ぐようなデータも蓄積される訳でも無いわけだ。

さて、
今後、東南海地震について、どちらの予測が当たるかだが。一般民衆は当たる事を想定して備えをしている方もいるだろう。また、私のようにろくに備えなどしていない人もいるだろう。得てして備えをしている人はもちろん、していない人も一抹の不安を抱えるだろうから、心のどこかで「起こった時どうしよう」と考えている方が多いのではないかと思うし、一方でノストラダムスの予言のように思っている方もいるだろう。
では、ここから私見を述べさせて頂きます。
私が思うには、当たる当たらないなどどっちでも構わないのです。
仮に大地震が起こったとして、起こると言っていた学者が偉い訳でも無いし、予知は出来ないと言っていたゲラー氏が劣っている訳でも無い。どっちも正解だからだ。
何分、白黒付けたがる日本人の事なので、地震が起こると国交省や学者が正しかった。ゲラー氏はいい加減だ。と言いたがるだろう。
しかし違う。ゲラー氏は「いつどこで起こってもおかしくないので備えはしておくべきだ」と常日頃から言っている事を忘れてはならない。別にゲラー氏は対立はしていないのである。むしろ学問でも無いものに税金や人員、時間を費やしても意味が無いと言っているだけである。
結局は、起こるか起こらないかで対立するなど不毛この上ない議論であって、特に一般民衆には全く無意味な事なのだ。自信は絶対に起こる。30年以内と言われれば私でも絶対に起こると断言できる。しかし巨大地震かどうかは分かりません。既に東北の震災はじめ大阪北部地震、先の能登半島での地震などで地下の様子は一変している可能性があり、起こる場所はリセットされているかも知れない。ただ、その時どうするか、それを前もって考えておいた場合と、ぶっつけ本番とでは、自ずと自己の対処法や家族の救助方法、被災後の生活に差が生じてくるだろうと思われる。

「危機には、気持ちの上で常に備えよ。」

個人に出来る事は、これが精一杯では無いでしょうかね。

久しぶりにカメラの話題

6月中に梅雨明けを宣言されたのですが、7月に入ってから土砂降りの雨ばっかり降ってる感じがして、これって気象庁、やらかしたんじゃないの?って思っちゃったりする今日この頃です。でも、各地の水不足は、それなりに解消するほど降りしきったようなのでちょっと安心なのと、何よりも米や農作物への影響が少なくなるなら歓迎の雨ですけどね。植木を育てていると、この梅雨って時期に土壌は水を貯め込んで、植物は夏の成長の為の力を蓄え、梅雨明けと共に一気に力を解放して秋の実りへと繋いでゆく感がするからです。とは言え、水害に遭っている地域の方には気の毒な話なのですが、何分自然と言う物は加減を知らない物で、人間が対処してゆくしか無いという現実もございますけど・・・。
 
さてさて、今日は久しぶりにカメラのお話。
あのニコン様が、一眼レフの開発は既に止めており、再開は未定とし、今後はミラーレス機一本で注力していきますです。だからヨロシクね。って言う感じのネットニュースが掲載されていました。
これには、
「時代の流れだからしょうがない」
「一抹の寂しさを禁じ得ない」
と言った物から
「光学ファインダーに慣れているので一眼レフは使い続ける」
「私は今でもフィルムなんですが・・・」
と言った方まで様々なユーザーの反応が見られました。
まぁ、ネット記事になったから、皆が書き込んでいる訳でして、実際には最後に発売されたD6辺りを最後に、一眼レフの開発は止めていたのだと思いますし、私からすれば何を今更?って感じでしたけど・・・。
ちなみに私は今もD500とD610をバディに据えており、今後も使い続ける予定です。逆にレトロ化してくれた方が、今なおD3Xを買いたいと思っている私にはうれしい次第です。
ただ、少し話がそれますが、カメラを機関車に例えると、フィルム機は蒸気機関車(SL)で、デジタル機は電気機関車(EL)なんですね。蒸気機関車って全てが機械仕掛けで動くので、きちんと整備されているSLは、今も元気にあちこちで走っていますよね。この走れる状態での保存を動態保存と言います。京都の梅小路はその聖地ですね。
一方で電気機関車となると古い電気機関車は、新しい電気機関車が出来てくると動態保存される事はほとんど無く、解体されるか博物館などで展示用に数輛残されるのが現状です。これは電気を動力に変える制御基板などの再調達が古くなるほど難しくなるのと、保存コストが増大するからです。だから古い電気機関車は走れない状態での保存が多いのです。これを静態保存といいます。
SLは静態保存されていた物を動態にして再度走らせる事が実際にあります。しかし静態保存の電気機関車を動態に復活させた例は私は知りません。
さて、カメラに話を戻しましょう。
全てが機械仕掛けで動くフィルム機は、一生物にできる価値があります。なぜならそのカメラを直せる人がいる限り、動態保存が可能だからです。或いはメーカーがコスト度外視で本気を出せば直してしまう事も可能でしょう。車のランドローバー社が、ボロボロになった初代ランドローバー(愛称:ランディ)をこっそり預かり、コスト度外視で修復してオーナーにクリスマスプレゼントした話は有名ですね。
しかし、メーカーや職人が本気を出してもどうしょうもないのが電子基板を用いた機械なのです。デジタルカメラはその最たる存在と言っても過言では無いでしょう。似たものは作れるが同じ物は作れないのです。木造船と同じですね。
そう考えると、古い一眼レフ機も含めて電子部品の入ったカメラは、一言で言うと「消耗品」という事になります。最終的には静態保存しかできない物という事になります。更に電子部品の特徴として、その電気仕掛けの部品点数が増える程、部品の再調達は厳しくなると同時に製品寿命は短くなります。これは昔の真空管の四つ足テレビは20年使えたのに、今のテレビは5年で寿命と言われた・・・と言う話で理解できると思います。そう考えると、昔の一眼レフ機は長持ちしますが、電子部品の比率の大きいデジタル一眼レフ以降のカメラは総じて一生モノにはならないという事になります。
私は師匠にカメラは一生使い続けるつもりで買えと言われたクチですので、電子部品の塊のD500、D610も一生使い続けるつもりで購入して、今も使い続けております。そうすると人間は不思議なモノで、良い点は良い点として当たり前ですが、悪い点もアジに思えてくるんですね。これは一台のカメラを長く使い続けないと理解できない部分だと思います。私が今でもキヤノンAE-1Pを持ち出してフィルム撮りをするのもそういう意味があります。
一枚の写真を「作品」とする場合、カメラの善し悪しや古い新しいは関係ありません。撮る側のセンスが全てです。有名な写真家達が今も「え?」と思うような古いカメラを持ち出したりするのは、そのカメラの全てを知っているからです。だから自分の思う作品を作出できるのです。
機械という物は使い続けてこそ、その価値を滲ませ、伝えてくれる物であり、そうなって初めてバディと呼べる機械になってくれるのだと私は思います。
ニコン様は、今後も一眼レフ機の修理やサポートは続けてゆくとの事ですので、今の所はデジタル一眼レフでも使い続ける事が出来そうです。しかし、結局はD500もD610も動かなくなったら静態保存の道しか残ってないんだよなぁ・・・。消耗品をダマシダマシで使い込んでいくってのも何だかなぁ・・・って感じですけどね。
久しぶりに、安売りしてた夏用の作務衣着て、京都へ撮り歩きにでも行ってみよっかな。
でも、梅雨明けてないから雨が多いしなぁ・・・(笑)。

ドラクエウォークをやっています。w

相変わらず、ウォーキングのお供にドラクエウォークを使っています。が、やはり相変わらずユルーくやっております。
ウォーキングはほぼ毎日やっておりまして、近所のだだっ広い公園の最外周を歩くと約6000歩となりますので、毎日5000歩を目標にしている私には一気に目標歩数を稼ぐ事が出来ます。
スマホ(iPhoneです)のメトロノームを110にセットしてイヤホンで聞きながら歩くペースを作り、ドラクエウォークをウォーキングモードでロックして歩いております。
メトロノームを使ってペースを保つやり方は結構以前からやっておりまして、数年前のダイエットの時はランニングでしたので120位のテンポでペースを取っていましたね。私の場合、ヘッドフォンをしていますけど歌を聴いている訳では無くメトロノームです。歌だと曲が変わるとテンポも変わってペースが乱れるので聞いていません。それにメトロノームの方が終わった後、いつまでも歌が頭の中で回ってしまうって事もないのでオススメです。
で、そんなウォーキングのお供になっているドラクエウォークですが、今はナンバリングタイトルのドラクエⅧのイベントをやっていたんですね。ドラクエⅧは一番好きなタイトルではあるのですが、なぜかピンと来ていなかったという・・・(^_^;)。
すでに、なげきの亡者もドルマゲスもレベル30を倒しております。この2つの強敵ですけど、その前に始まっていたメガモンスター「闇の覇者りゅうおう」を単独で倒せるだけの武器、防具、こころが揃っていたら、助っ人なんぞ関係なく、なげきの亡者は心珠をゾンビに振るだけ。ドルマゲスは心珠と装備をバギ耐性にすれば難なく倒せます。弱点も武器の通りもほぼ同じだからです。
私は、回復はトワイライトブルームとドラゴンの杖。攻撃は百獣の暗黒鞭ときせきのつるぎでノーデス完了しました。
レベル30を倒したら、後はレベル10位にして、ちまちまと殺していたらアイテムの入手とこころを集めてくれます。ちなみにどちらのこころもSを取ってみた所で多分この先も使いませんね。なげきの亡者はワイトキングに似ているので雰囲気で欲しくなるかも知れませんがワイトキングとは性能差は段違いで低いです。使えません。
ドルマゲスもデインとメラが12%アップなんですけど、黄色のこころのクセに、それがどうしたという位ショボいパラメータなので使いませんね。単なるコレクションです。そんなもん集めてる暇があったらサイレスとダークペルシャのこころSを一つでも集めた方がよほど有意義です。動画サイトの見過ぎに注意ですね。
それにしても、ただの「りゅうおう」のこころを覚醒させ「闇の覇者りゅうおう」にすると、これは使えます。これは意地でも覚醒させた方が良いでしょうね。と、言いたい所ですけどドルマ系の呪文アイテムを持っている人に限ります。それ以外の人って、何か恩恵があるのかなって感じですよ。ハッキリ言って上級職で完全に攻撃呪文使いに触れる機会って、ドラクエウォークの場合はほとんど無いんですよね。賢者と魔法戦士、強いて言えばパラディンが魔法が得意なんですけど、強敵を前にすると賢者もパラディンも回復役になるし魔法戦士も武器を持つのでほぼ魔法は使いません。バイシオンくらいかな・・・。そうなると攻撃魔法用のこころになる「闇の覇者りゅうおう」のこころって、強敵やメガモン討伐ではほぼ使う場面が無いです。レベル上げの周回用って所なんですが、ドルマの呪文が強化されるだけなので、そのアイテムを持っていなかったら出番は皆無です。
私的には、色別でいくと集めるこころSの数は、以下の通りで良いと思います。

・赤いこころ・・・1個
・青いこころ・・・2個
・黄のこころ・・・2個
・緑のこころ・・・2個
・紫のこころ・・・1個

って感じですね。
一番大事なのは回復系の緑とHPとすばやさが高い青ですね。これらは強敵やメガモンで編成する事が多い回復2枚攻撃2枚という編成で2つ欲しくなる場面が多いからです。黄色は同じ攻撃アイテムを2つ持たせて攻撃特化で攻める場合やパラディンも攻撃させて攻撃3枚編成にする場合に必要になります。
赤と紫は2人に持たせる事が殆どありませんので1個でよいです。同じこころSが2つ必要になった事なんて今までほぼ無いですから。
ちなみに「高難度」に関してはほぼ間違いなく特攻の攻撃アイテムが必要になります。こころだけではどうにもなりません。私は特攻アイテムが手に入った時だけ挑戦して倒しています。特攻アイテムがない場合では勝率は0%です。運が重なると倒せそうな時もありましたけど、とにかく時間もかかって面倒臭いです。なので高難度は幸運または課金組のメニューだと割り切った方が良いと思います。
ちなみに魔法戦隊を組んで強敵レベル30とか、メガモンを倒せた事は今まで一度もありません。紫のこころなんぞ2個以上集めても無駄以外の何物でもありません。やはりバトマスやレンジャーの攻撃武器によるオフェンスが主体です。三人目の攻撃役を張れる時だけ攻撃呪文特化キャラという事になります。あ、回復役でMPがたくさん欲しい時は紫のこころを一つ入れるかな。w
Youtuberとかはかなり煽った言い方をしているので、何としてでも入手しておかないといけない!みたいな気にさせられるかも知れませんが、実際はそうでもなく無ければないで何とかなるユルいゲームだったりします。私は未だにランプの魔人もトロルキングもこころSなど持っていませんし、ボボンガーも前回の確変イベントで要約Sを2つ入手した程で、実はりゅうおうもなかったし、ワイトキングは1つSを入手しましたが、ほぼ使っていません。もう要らないと思っているのはゴーレム、ナウマンボーグ、ドラゴンですね。どれも対峙すればあっという間に倒せますけど、今更こころSを持った所で使う事なんて皆無なので、コレクションでももはや過去の遺物ですね。いつまで出すんでしょうね。
それでも、別に苦労もする事無くイベントはこなしてきましたしレベル30の強敵も、あまりに面倒でやる気の失せた1体を除いて全部倒してきています。
持っていれば倒す。持っていなければユルいプレーで進める。ドラクエウォークってそう言うゲームなんだろうなって勝手に思っています。必至で課金してガツガツやっている方を見ますと、お金もったいないなぁとしか思えないんですよね・・・。
最近はこころの覚醒がやたらと流行ってきましたけど、私の予想では次はバラモス辺りがアヤしいと思います。ナンバリングでは不朽の名作とされるⅢの大ボスだし「魔王」と名乗ったのもバラモスが初めてです。そんな魔王のこころが、今となってはショボすぎる・・・。色は緑の回復系でスキルで10%回復アップの特殊能力が付くので今も使う人は多い気がしますが、いかんせんHPとかMPが低すぎです。覚醒後は全パラメーターを2倍にしてもよい位で、特殊能力にベホマラーかザオリクを実装したら、回復こころの値打ちが一気にトップになるんじゃないでしょうか。私的にはザオリクはやり過ぎだと思うので、既に聖風装備でほぼ普及しているベホマラーの実装が面白いと思います。これによってユーザーの全般的な回復の底上げが出来ますので、闇の覇者りゅうおう級の強いメガモンや強敵を出現させる事が出来ます。敵が強くなればなるほど、戦略や戦術は多岐に渡ってきますので、Youtuberの攻略法も参考にはなっても絶対的な物にはなり得ませんので面白くなるでしょうね。またベホマラーならマホトーンを敵に持たせるだけで、簡単にウザい敵にする事も出来ます。
あと、職業に関しては1人だけ覚醒出来て「勇者」にできるという機能を実装したら良いのになって思いますね。勇者にギガデインの更に上「ミナデイン」が実装されると更に過激に面白くなると思うのですが・・・。
現在は、ガチャによってプレイヤーの強弱格差が開きすぎていて、敵の強さも中途半端感が否めません。覚醒という方法で、ある一定の底上げを行う事でインフレにはなりますが、皆が強くなれればそれはインフレとは言いません。その辺りのバランスを取る為にも実は必要な実装機能ではないかと思うのですが・・・。

このところ、写真の話題から外れまくり。w

タイトルの通りでございます。w
今年はヒメボタルを見る事はしましたが、撮る事はしませんでした。新規開拓で行った所もあったのですが、ヒメボタルの生息地ではなかった感じで、それで心が萎えてしまいました。毎年撮りに行ってた近所の竹林に、今年は見に行っただけでございます。今年も割かしたくさん(?)いましたけどね・・・。
最近は城と月のコンビを思いつきで撮りに行っておりますが、この撮影がなかなか私の好みに合うようには行かないんですね。私の好みと言うのが以下の通りの条件です。

<月と城のコンビの写真の土岐的撮影したい条件>
1)天守はライトアップされておらず、背後の月のシルエットで浮かび上がっている。
2)あまり撮影の的にされていないお城を何とかドラマチックにしてあげたい。
3)満月は必須ではないが、半月以上が好ましい。
4)晴天でなくても良い、朧月だと最高かな。

という感じです。
これまで、あちこちの城をググったりしてリサーチしましたが、一番の障壁となるのが1)の条件。
実際に撮影できたのは伊賀上野城だけですが、城からの距離が1.3kmと近かった為、月の大きさが全然足りませんでした。これはフェイスブックに掲載しておりますので、良かったらご覧ください。
城の天守閣の大きさにもよるのですが、天守を月影が覆うとなると、最低でも3kmは離れる必要があります。一眼レフでの理想と限界は5km。それ以上になると2000mmクラスの超望遠撮影になる為、デジスコが必要になってきます。
つまり5km離れても天守閣を見通す事が出来て、背景に天守閣よりも高い山が覆っておらず、尚且つ城と月の出(入)の重なる軸線上に撮影場所を探さなければなりません。城は平地に建っているようで実は小高い所に建っているのが常で、巨城で平地に建っているのは、太平の世になってから建築(増改築)された江戸城くらいな物です。つまり、この条件を満たす事ができる城は結構あちこちにあるかと思いきや、ネットを駆使してリサーチすればするほど、それがそう簡単にはないという現実にぶち当たります。実際に3km以上の所から見渡せても、月の出入りの軸線上になければ月と城のコンビを写し留める事は叶いません。最終的には「この城、何とかならんもんかな・・・」と、実地踏査を兼ねて現地へ赴く事になるわけですが、ダメな物はダメというのが今の所、伊賀上野城と犬山城で食らっております。(^_^;)
しかし、
実は、この条件を余裕で満たせる城が実はあります。
その城は、古くは稲葉山、現在は金華山の山頂にそびえ立つ、信長の天下布部で有名な「岐阜城」でございます。
田園地帯が多い広大な岐阜盆地の真ん中に、標高329mの地点にぽつんとした形で天守が見えますので、正に私の条件に見合う素地を整えたお誂え向きのお城と言えますね。だから私も岐阜城へ行けば良いのです。ええ分かってるんです。しかし、そんな岐阜城を見上げながらもスルーして犬山城へ赴いたのにはワケがあります。

2)の条件を満たす為です。(*^▽^*)

岐阜城は、もうかなり昔から月とのコンビが撮れる事は存じておりまして、さすがに斎藤道三の居城(稲葉山城)だった頃は私はいませんけど(信長の時代もいませんけど・・・w)、古くはフィルム時代にまで遡ります。岐阜城のあの姿を見れば、写真をやっている者からすると、まず誰もが月とのコンビ撮影を思いつくのは推して知るべしで、実際にデジタルとなって手軽に撮影できるようになった昨今に至っては、月に何かのイベント(満月とか月食とか)が起こる度に、岐阜城と月のコンビが撮影されてネットに貼り付けられています。要するに「有名すぎるお城」ですので、私のような不肖者が撮りに行ってお茶を濁さなくても素晴らしい写真がたくさんありますのでスルーしている訳ですが・・・。そんな岐阜城、いくら待っててもまだ撮られていない姿がありますねぇ・・・(意味深)。

しかし、岐阜城と撮れる月と、例えば伊賀上野城や犬山城で撮れる月とは決定的な違いがあります。それは月の暗さというか赤さというか。城の建つ山の標高が低いので、月は赤銅色の姿となって天守の背後から姿を現します。この赤銅色の月、なかなか私好みなんですよね。
ちなみに月の出と城の重なる位置をどうやって事前に調べているかと申しますと、私の場合はGoogleマップと、マピオンの月の出のサイトと、距離測というサイト。現場に行ったらiPhoneに入れてるStar Walk2(有料版!)と言うアプリで確認しています。それほど緻密な計算をしている訳ではありません。これで大体の場所が分かりますし、最終的にはカメラ持って走るだけです。今の所、2カ所ともドンピシャすぎて、暗すぎる月の出を見逃す所でした。
ちなみに2kmほど離れますと、結構な望遠レンズが必要となってきます。私はDXのD500に150-600mmのレンズを使ってまして、都合750mmまで引っ張れるようにしていますが、3kmとなってくると恐らく1.4倍または2倍のテレコンも必要になるのではないかと思われます。また、月の動きは思った以上に速く、超望遠になればなるほど大気の揺らぎやピント取り、シャッター速度や感度など、撮影の難易度は倍々式に上がってゆきます。位置取りの調整も走り回る距離が長くなります。天守がライトアップされておれば難易度はグッと下がります。多分余裕です。シルエットだと数段難しい・・・ここにゲーム性を感じて私の場合は挑戦心を煽られてしまうんですね。
ちなみに今現在は、撮影不可能とされている城と月を、何とかできない物かと必死でリサーチしております。これは撮れる確率が低すぎますのでまたの機会に・・・。

4630万円のネコババ犯がついに逮捕。その容疑は・・・。

先日から世間を賑わせまくっている4630万円の交付金ネコババ男の件ですが、ついに警察が重い腰を上げて逮捕に踏み切りましたですね。容疑は「電子計算機使用詐欺」らしい。

刑法246条の2
前条に規定するもののほか、人の事務処理に使用する電子計算機に虚偽の情報若しくは不正な指令を与えて財産権の得喪若しくは変更に係る不実の電磁的記録を作り、又は財産権の得喪若しくは変更に係る虚偽の電磁的記録を人の事務処理の用に供して、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者は、十年以下の懲役に処する。

コンピュータを使った不正な利益を得んとする者を想定して昭和62年に設定された比較的新しい刑法の詐欺罪の追加条文である。
追加で知った事だが、男は入金を知ってからスマホを用いて何度も口座にアクセスし、複数回にわたって数十万から数百万を引き出して使い込んでいたようである。スマホを使って・・・という点を重視して警察は不当な利益を電子計算機で行ったという事で「電子計算機使用詐欺」の容疑で逮捕したように思える。
 
逮捕内容がそのまま書類化されて送検され、検察も「はいそうですか」とそのまま起訴する訳ではないので、最終的な起訴内容はまだ分からないが、とりあえずはそういう容疑という事だ。
しかし、
「電子計算機使用詐欺罪」というのも、過去に似た例で判例があったりして、それっぽく見えるし警察の気持ちも分かるんですが、私的にはかなりこじつけな容疑に思えるんですよねーー。
この刑罰の構成要件は以下の通り。

1)電子計算機に虚偽や不正な指令を与えて、財産を得たり、借金を減らしたり、名義を変更したりする事。
2)虚偽の電磁的記録を、担当者などに伝えて事務処理をさせる事で自分の財産を不当に得たりする事。

のようである。
サクッと言うと1)と2)の違いは、自分でやるか、人を騙くらかしてやらせるかの違いのようですね。
実際の裁判例を見た方が明朗かも知れないので、ネットに転がっていた例を書き出してみると以下の通り。

1)銀行のオンラインシステムにウソの振り込み送金情報を与えて不当に利益を得た。
2)信金の支店長が、入金の事実がないのに預金係に端末を操作させて、預金入金があったとする情報を与えた。
3)プログラムを改変して預金残高が減らないようにした。
4)他人のクレジットカードを無断で使用して電子マネーを購入した。

等々です。
最後の4)は該当していないと思われますが、最高裁の判例でカード保有者が関与していない事を理由として虚偽の情報の入力であると判断し、電子計算機使用詐欺罪を認めた特異な例です。
 
さて、条文から判例まで列記してみましたが、今回の男の行動で、どこかこの罪刑に該当する部分ってあるのでしょうか?
とりあえず起訴に持ち込めば、あとは裁判所が上手く取り繕ってくれるってな考えではないと信じたいですが、少なくとも私には、刑法246条の2に該当する部分がどこにあるのかさっぱり見えてきません。男は自分の口座に自分の情報を打ち込んで、誤送金された金を引き出して使い込んだ訳ですから、そこに「虚偽の情報を与えた」という事実や因果が全く見えてこないのです。
電子計算機使用詐欺罪というのは、わかりやすく言うと、ATMやネットバンキングシステム等の「機械=電子計算機」を騙くらかして金を搾取した時に成立する罪です。男は金を引き出すのに誰も騙してはいません。不当な利得があった事を知った時点で申し出る義務があるというが、それは電子計算機云々では無くただの詐欺罪で立件できます。やはり論理破綻しているように見えるんですね。
男が実際に行った行為は、スマホを使って人の金を、持ち主の意に反して自分の占有下に奪い取った事です。これは誰が見ても明らかな事実です。占有を奪う行為は窃盗罪です。それが回り回ってなぜ電子計算機何とかになるのか訳が分かりません。
ま、まだ、検察の判断などで今後の展開はまだ分からないですから見物する事にしましょう。
 
それよりも、人によったら職員は誤送金にいち早く気付いたんだから、その時点で男の口座を凍結して、銀行に掛け合ってとっとと取り返せば良かったじゃないか・・・と考える方も結構いると思いますので、この点について説明しておきたいと思います。
例えば、盗まれた物を自力で発見した場合、それを自力で取り戻して家に持ち帰ったら窃盗罪に問われます。変な話ですが、こういう自力で取り戻す行為を「自救行為」と言います。または自力救済とも言います。これは日本では原則的に禁止されている行為です(もちろん緊急性の理由から回復困難な状況等を勘案して例外となる場合があります)。
窃盗によって失った物を、近所の庭で見つけたので、自力で持ち帰ると自分が窃盗犯になる・・・。被害者にしてみればおかしな話に思えるかも知れませんが、仮に自救行為を認めてしまうと、あなたが身に付けているアクセサリーや鞄などを突然他人に指さされて「それは私が盗まれた物だ!返せ!」と、いきなりブン取られるような事が横行して社会が混乱してしまうからです。
この自救行為の禁止によって、今般の事件でも職員は男の口座に入った4630万円を確認はしていたのですが、取り戻す為にはその男の確認と自分の物ではないという公的な認定が必要だったのです。公的な認定とは、警察など行政機関の確認と認定です。これがあって初めて銀行は4630万円を元の鞘に戻す手続きが出来るわけです。件では、この直前で男は「公文書を出せ」と言って拒んでいますので、手続きが出来なかったんですね。しかし、口座の一時凍結は可能だったと思われますので、やはりそれは行うべきでしたね。

4630万円のネコババ事件の時系列と罪形

この事件については、ワイドショーやネット速報などでちまちまと情報を見聞きしていたので、刑法上の罪の考え方とか、民法上での審判の考え方について件に当てはめて書いていましたが、詳しい時系列をようやく知る事が出来たので、もう少しまとめて書いてみたいと思います。なるほど、詐欺罪が成立するのではないかと言う弁護士の橋下元大阪府知事の言う事も理解できます。(私は異論がありますけど)
 
4630万円のネコババ事件の時系列は以下の通りのようだ。

1)4月8日、阿武町の職員が4630万円をAの銀行口座に全額を送金してしまった。
2)すぐに誤送金と気付いた為、職員はAに電話で連絡を取ったが連絡が取れなかった。
3)朝9時50分頃にAの自宅に訪問した所、Aが寝起き姿で玄関口に姿を現した。
4)職員は4630万円が誤送金によってAの口座に入ってしまった事を説明し、Aもそれを確認した。
5)職員は事情を説明して銀行に同行して返還の手続きをお願いした所、Aは「風呂に入るので1時間欲しい」と一旦家内に引っ込んだ。
6)その後、銀行に同行したが到着後「やはり今日は手続きをしない、そう言う気分じゃない。後日、その旨の公文書を郵送して欲しい。」と言い始めて、結局そのまま引き返す事になった。
7)引き返す道中でAは「ここで良い」と途中で車を降りてしまった。
8)その後、Aとの連絡が途絶えてしまった。
9)4月21日、本人に連絡が取れず、居留守を使われたりしているのか昼間は応答が全くなかった。
10)同日夕方、職員が自宅を訪問するとAが野外でたばこを吸っている所に遭遇して、要約Aとの接触が出来た。
11)そこでAは「お金はすでに動かした。もう戻せない。犯罪になる事は分かっている。罪は償う。」と職員に言った。
12)実際にAは誤送金の発覚日に60数万円、1週間後に2000万円と動かしており、2週間の間に4600万円を国内の2銀行に動かしていた事が判明する。
13)Aは金の使い道について、数社のネットカジノで全部使ったとっているらしい・・・

以上が事の始まりと、現在の経緯のようです。

さて、私のここ最近の日記を読んでくださった方なら、占有離脱物横領罪、窃盗罪、強盗罪、詐欺罪等の判定ポイントがある程度分かっておられると思いますので、自分が検察官だったら何の罪で起訴するだろうか。被害に遭っている阿武町には申し訳ないですが、刑法上の観点からすると、一般人にとっては凄く勉強になる事例だったりするのだ。
多くの弁護士さんは「詐欺罪」の成立を主張しているようですが、私的には確実に有罪を取るなら「窃盗罪」ですかね。
ではなぜ橋下元大阪府知事を始めとする多くの弁護士さんが「詐欺罪」を主張するのか。ここについて紐解いてみたいと思います。
詐欺罪の成立要件には必ず相手を騙す「欺罔」という過程が必要である事は先日の日記で書いたとおりだ。その他にオプションとして「金品を被害者の意思で引き渡す」という要件も必要となる。オプションと書いたのは、私は「欺罔」した時点で詐欺既遂を唱える論者だからです(すいません、ややこしくて)。
この詐欺罪を件の時系列に当てはめて考えるとAが「欺罔」を働いたと考えられるのは5)と6)で、銀行まで同行までしてくれて公文書でとまで言っているのだから職員は「この人はお金を返還してくれる」と思ったと推察できる。しかし実際にはその後連絡が途絶して、次に会えた10)11)で、既に金を使い込んだと言われ事実上の返還拒否の旨を告げられてしまう。これだとAを多少なりとも信用していた職員は、後日豹変したAを見て「しまった、騙された」と思ったに違いない・・・という推察から多くの弁護士が「詐欺罪」を主張するに至っているのだと思う。
しかし、
私に言わせれば、これまた多くの弁護士が論調しているオプション(詐欺既遂となる要件)の「自分の意思での金品の引き渡し」の過程が「欺罔」行為の後に無いのである。弁護士は屁理屈を唱えるのも達者なので恐らくは
「欺罔と金品の引き渡しの時系列は関係なく、この件では1)の時点でオプションが成立している」
とでも言うのだろうと思うが、私はそれこそ論理破綻していると思う。
被害者が詐欺師に、無言でお金を渡して、その後返してくれないのは騙し討ちだ詐欺だ、と騒ぐなどマンガでしかないし、現実ではあり得ない過程だ。やはり詐欺罪は「欺罔」→「金品の引き渡し」の順番過程が必要と思われるし、刑法もそれを想定して設定されているはずだ。つまり詐欺罪は過程的に成立しない事になる。
ただし私のように「欺罔」行為だけで詐欺既遂と判定する場合は5)6)の時点で「詐欺罪」が既遂として成立しているととらえる事ができる。ところが、私的にはやはり金品の引き渡しが「欺罔」の後にない以上は、職員がAに騙されて金品を詐取されたとは言い難いので詐欺罪自体が成立しないと判定してしまう。
そこで以前にも言ったように、Aが誤送金だと知った上で「ネコババして使い込んでいる=金を自分の占有下に奪い取っている」という事実を重視して所有者の意思に反して占有を奪い取る犯罪である「窃盗罪」の成立が一番しっくりくると思うですが、どんなもんでしょうか。
ちなみにもし、職員が気付くのが遅く、Aの方が大金の振り込みに気付いてこれぞねずみ小僧か天の恵みと使い込んでいたとしたら占有離脱物横領罪だと思うが、時系列ではこの罪形は2)の時点で消えていますね。
と言う訳で私は窃盗罪派です。この後、警察はどのような捜査を行って書類送検を行い、検察は何の罪状で起訴するのか、或いはしないのか、注目してみたい事件です。

<窃盗罪>
刑法235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

<詐欺罪>
刑法246条
1,人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2,前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

<占有離脱物横領罪(遺失物等横領)>
遺失物,漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は,1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。

※刑法で言う懲役、罰金、科料には全て前科がつきます。科料に似た「過料」と言うのがありますが、これは国や自治体など行政機関が執行する罰で財産の差押えがきますが前科はつきません。交通違反の反則金(青切符)は刑事告発前の警告制度でどちらにも属しません。

※当方は弁護士ではありません。あくまで個人的な見解に基づいてこれらをエッセイとして書いております。法律相談などは一切受けておりません。また、当日記を参考に行動を起こされ、不利益を被った場合であっても、当方は一切関知いたしませんので、そのつもりでご覧ください。実際の法律相談は、弁護士にご依頼ください。

コロナ禍が生んだ新興ビジネス・・・?

テレビのワイドショーというのは、時に耳目を疑うような、或いはびっくり仰天するような話を教えてくれる事がある。今し方見ていたバラエティに近いワイドショーを見ていて私的にびっくり仰天させられた話題が飛び出してきたのと同時に、まぁコロナ禍が生んだ新興ビジネスって事になるのかなぁ・・・いや「新興」ではないか・・・と、ちょっと首を傾げる事態になったので、自分的に話題の裾野を広げて考察してみた次第です。
 
そのワイドショーが教えてくれた話題というのが、女性(男性もいるのかな)が使用したマスクをネットのフリーマケットに出品して販売するという物であった。
折しも歴としたウイルス感染症である新型コロナ(Covid-19)が飛沫感染を要因として流行している昨今に、その感染の危険性の一番高いと思われる他人の口泡飛沫がたくさん含まれたマスクを売り、それを挙って購入する者がいるという事に仰天したのである。ちなみに新型コロナ感染症では口と口を付けた(=キス)場合の感染確率は、私の記憶ではおよそ57%とされているので、間接的ではある物の、買った人間がそのまま装着すると充分な濃厚接触という事になる。ちなみに私的にはコロナが流行っていなくても、他人のマスクの使い古しを「あげる」と言われても絶対に要らないのですが、まぁ、個人には嗜好という物がありますので、そこはとりあえず触れるのは止めておく事にしよう。
さて、法律の話題がちょっと続いたので、ついでにこの中古マスクの販売についてもちょっとだけ法的な事を触れておく事にしよう。
結論から申しますと、使用済みのマスクに口紅が付いていようと、唾液やタンが含まれていようと、売る事にも買う事にも法的には問題はございません。また私の記憶では各都道府県の条例にも(今の所)抵触していないはずです。東京都や大阪府などでは、下着類などの猥褻物品の売買は条例により禁止されていますが、使用済みのマスクは含まれていないからだ。詰まる所、自己責任で売買してくださいという状態になっています。ちなみにその使用済みマスクの価格相場は現在300円前後だとの事だった。これに対し西村ひろゆき氏は、1ヶ月分まとめ売りしても9000円だと考えると、普通にバイトをした方が収入になりませんか・・・?とツッコんでいましたが私も同感です。しかし売る側(女性?)からすると、使い古した下着や水着を売るよりもハードルが低い感覚があって、ゴミが金に変わるという感じで販売している事が多いのだろうと推測する。ちなみに完全裸体の写真や絵画、文書など直接的猥褻物の売買や配布に関しては刑法175条により猥褻物頒布等罪として規定されているので犯罪行為となる。売春防止法もそうだが、日本の刑法は犯罪の成否に被害者の有無は関係なく「要件を満たしたら罪」となっている(これ大事)。
しかし、下着類や生活使用物品などの売買(頒布)については事実上規定されていないので、実際はどこからが猥褻物でどこからがそうで無いのかの線引きがよく分からないのが実情である。と言うのも、性的な嗜好というのは年齢性別に拘わらず、個人によって千差万別に存在するからだ。わかりやすく言うと、下着類よりも帽子(のにおい)に興奮するという者もいれば、眼鏡に愛情を覚える者も実際にいるという事だ。
そう考えると、私もずっと以前から思っている事なのだが、「性的な嗜好」と言う物を考えると、ネットのフリマやオークションで普通に出回っている中古(使用済み)の衣服類と、今般の使用済みマスクの、どこがどう違うのかという疑問にぶち当たるのだ。私的には中古品の全てが使用済みマスクと同じ次元になってしまうのではないかと思うのだ。そこに反論として入ってくるのが「社会通念」という事になってくるのだが、その社会通念と言うのも水物で、時代や一般庶民の生活態様、考え方によって変遷するし、強いては議会での議決や裁判の結果如何によって一気に様相が変わる事すらある。ネットを媒介にした売買取引では、売った側も買った側も個人情報保護の観点から一定の匿名性が保たれており、実際の取引相手の氏素性は分からないので、例えば普通に着ていたセーターを売ったが、買った側は実は性的嗜好で購入した可能性もあるわけで、実は売る側がそれを想像できるか否かによって社会通念=ハードルが上がったり下がったりするのである。だとすれば、下着類の販売を禁じているという各都道府県の条例も、社会通念上は理解できるが、突き詰めてゆくと、実効性があるのかどうか・・・という所に行き着くと私は思う。
そう、法の実効性である。
これが無ければ、いくら立派な主旨で法律を作っても無意味な物になってしまうので、とても大事な要素だ。ここまで話が来ると、もう少し裾野が広がって日本国憲法21条で保障されている「表現の自由」という所に行き着くのである。これは、例えばカバネルなど昔の有名芸術家が描き遺した女性裸体の絵画を猥褻画とする者はほぼいないだろう。しかし一方で、以前には写真家の加納典明氏が撮影した女性のヌード写真は芸術では無く猥褻物であるとして摘発対象になった事もある。ではその境界線はどこにあるのかという話である。もっと解りやすく言うと、女性が自分の使用していた下着をそのまま売ったら猥褻物を売ったとして条例違反に問われるならば、その下着を立派な額縁に入れて豪勢な装飾を施し、ご丁寧に表題まで付けて芸術品であるとして出品したとしたら・・・。
とどのつまりは、無名監督のエロビデオはダメで、黒澤明監督のエロ場面のある映画はOKなのかと言う話に発展し、結局刑法175条は、日本国憲法21条に抵触しているのではないか・・・?
という話になってくるのである。
実際に刑法175条違反で公判(刑事裁判)となった場合、憲法21条等を用いて争われる事が非常に多く、最高裁まで話が行く事も少なくない(刑事裁判は三審制度が敷かれているが、一審で憲法違反の判断がなされた場合、高裁を飛び越して最高裁への跳躍上告が可能となっている、これは最高裁だけが違憲立法審査権を持っているからです)。これには有名な裁判例がたくさんあり、ネットで調べるとすぐにヒットすると思うので、興味のある方は検索してみると良い。
こうやって一つ一つの話題を法的に照らし合わせてゆくと、法律があるのだから結果は一本道だとは決して言えない現実がある事がよく分かると思います。弁護士や検察官によっても法の解釈によって意見が分かれますので、ここに法廷で争う余地が残されているという事です。

さて、
1枚300円で女性が販売する使用済みマスクの話が、なんと日本国憲法にまで及び、法曹でもない私には手も足も知識も届かない議論がされている範囲にまで到達してしまったので、法律的な話はここまでにしますが、私的な結論として、ネットのフリーマーケットというツールで、個人が匿名でいとも簡単に世界中の人間を相手にアピールをして商売ができる時代となった昨今、今まで普通に捨てていたゴミが、意外な収入をもたらす事もあるという事例であると捉えておきたいと思うが、切った爪や、剃ったスネ毛なども売られているのかな・・・等と想像すると、何だか薄ら寒い気がしてくる昨今です。

詐欺罪とな!?

昨日は、誤送金されてきた4630万円をちょろまかした人間が、どういう罪に問えるのか、その大金の行方はどうなってゆくのかを、法律点から考察して私なりに予測を立ててみた訳ですが、今日、ワイドショーを何気なく見ていると、この事件に関して「詐欺罪」が成立するのではないか?という話が出てきており、私的には少々驚いたので、今日は刑法で言う「詐欺罪」と言う物をテーマに考察してみたいと思います。
日本の刑法の中で謳われている「詐欺罪」の条文は246条にあり、以下の通りである。
 
第二百四十六条 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

サクッと説明すると、一項では詐欺罪の成立要件と量刑を定めており、二項では自分が利益を得ても、他人に利益をもたらしても同罪である旨を謳っている。テーマ的にひもとく必要があるのは、やはり一項の方だろう。
詐欺罪とは、世間的に分かりやすく言うと、人をあの手この手で騙くらかしてその者から金品を奪取する事だ。近頃ではオレオレ詐欺や交付金詐欺などと言う犯罪も多く流行っているので、何となく多くの方も理解しているだろう。
しかし刑法で言う詐欺罪の成立要件というのは、実は「奪取する」の少し前段階の「人を騙して・・・」という過程で成立することになっている。これを法律用語で「欺罔(きもう、ぎもう)」と言います。
欺罔とはググると分かるが「詐欺的行為で、相手に虚偽のことを信じさせ、錯誤させること。」です。
つまり、この「欺罔」という過程を踏むと詐欺罪は既遂となる。その後の金品を実際に奪ったかどうかは関係ないのである。詐欺師の皆さん?電話で嘘っぱちを言ってる瞬間から詐欺罪は成立しているんですよ~。ちなみに詐欺未遂とは相手を「欺罔」しきれず気付かれてしまった場合に未遂となる。更に言うと詐欺師が「欺罔」を犯している最中に相手に情が移ってしまい、何だか可哀想になったので「騙すを止めた」場合は詐欺未遂で公訴はされるが「中止犯」という事になり、これは刑法43条によって「刑が必ず減刑、または免除」される事になっている。中止犯は、駆けつけた警官に説得されたとか、通行人の邪魔が入ったので中止した等の場合には適用されないので勘違いしないように。

さて、少々話が横道にそれてしまったが、話を元に戻そう。
詐欺罪の成立要件には、犯人が「欺罔」という過程を踏んでいなければならない。日本は法治国家なので条文にある以上は、これは絶対条件だ。では、4630万円のネコババ事件に当てはめて考えてみよう。
さて、
A(昨日の続き、ネコババした本人の事)は、一体どこで詐欺を働いた事になるのか・・・?
少なくとも、誤送金をした職員に対しても、阿武町に対しても「欺罔」という騙くらかして陥れるような事は何一つしていないのだ。ではなぜワイドショーでは「詐欺罪」等という突飛もない罪状が話題に上って来たのか。これは実はAと阿武町(職員)との間に成立している罪状ではなく、Aと送金を請け負った銀行との間で「成立するのではないか」と言う話だったりします。
例えばAが4630万円ものお金が自分の口座に振り込まれている事をスマホ等で知り、早速その金を引き出して我が物にする為に印鑑と通帳を持って窓口へ行ったとする。当然それだけの額面となると、特に振り込み詐欺の多発している昨今なので、窓口の銀行員は「何かのお支払いですか?」等、Aに一言かけるだろう。そこでAは窓口で「何らかの嘘をつく」事になるのは推して知るべしだ。その嘘=欺罔によって銀行員を納得させ、大金を引き出したという事で「詐欺罪が成立」という事を言っている・・・と思われる。が、残念ながらAはこの金を引き出して動かすのに窓口は利用していない。つまりちまちまとATM等を使って引き出していたようなので、そうなると、私が思うにはAと銀行との間には、どこまで行っても「欺罔」という過程がないワケで、これに詐欺罪を当て込むというのは、それこそ風が吹けば桶屋が儲かるような話で欺罔をこじつけていく必要があり、公判では弁護人と検察官の間で裁判官を欺罔し合うような、まるで禅問答的な尋問合戦が展開され、恐らく担当検事もそんな予想をして「詐欺罪では法廷が維持できんよ」となる気がするのだ。ちなみに該当しない、とんちんかんな罪状で起訴すると無罪判決が下る場合があり、検察は赤っ恥をかく事になる。だから警察が書類送検をした後に、実際に起訴できるだけの証拠があるかどうか、どの罪状で起訴するかを吟味する権限を検察は持っているのだ。これを二次的捜査権と言い、かつてのキムタクのドラマでも松たか子さんと組んで証拠集めの捜査をしてましたね。
それはそうと、詐欺罪の成立要件として「不作為の欺罔」と言うのも考えなければなりません。これはわかりやすく言うと、買い物をして釣り銭を多く受け取ったのに気付いたが、そのまま黙ってネコババした場合に成立する。つまり気付いたけど申し出なかった=不作為によって相手を欺いて不当に金品を授受したというワケだ。Aが銀行窓口でなくATMを使った場合もこれに該当するのではないかという説を唱える弁護士さんも出てくるかも知れないが、私はこれも無理があると思う。確かに、阿武町(職員)も銀行員も気付いておらず、Aは大金が誤送金されたのを申し出なかったと言う点で不作為の欺罔による詐欺罪が成立すると言えなくもないが・・・。ここは私如きが論説する箇所ではないのでやめておきます。と言うのも、この点については法曹の間で大論争が起こっている事案だからだ。でも私個人の考えとしては、この誤送金の事例を釣り銭の事例に重ねて詐欺罪に持っていくというのは、どうしても無理を感じます。だってAはATMの向こうに銀行員がいるとは言え、人外の物に「不作為」を働いたワケで、それってどうなの?って話になるんですよね。ま、これ以上はやめときます(笑)。

ワイドショーではもう一つ、ATMを使ってAがお金を引き出したのなら、電子取引何チャラとか言う罪に当たるのではないか等と議論をしていたが、私はこれにも該当しないと思う。Aはべつに電子取引のシステムを悪用して不当に金を手に入れた訳でもないからだ。
結局、やっぱり詐欺罪に持ち込むのはちょっと無理があるように思われますね。窃盗罪の疑いを持ちつつも、現時点で起訴できる罪状というのは「占有離脱物横領罪」という事になるのではないかと思われます。
う~む。聞くとこのネコババ犯、二十代の青年との事。本当にここまでの法律知識があっての狼藉なのか、或いは法律に詳しいバックがいるのか、私的にはやはりそこが一番気になります。

<追記>
詐欺罪の既遂と未遂の判断基準として、
1)金品の搾取が行われたか否か
2)上述のように欺罔行為を行い、相手が錯誤したか否か
で、諸説があります。多くの弁護士は1)を採用されているようですが、私が習った詐欺成立要件は2)でした。私は弁護士ではありませんが、法律を多少なりとも囓った者として、この考えは今も変わりません。なぜなら1)では詐欺師が既遂として逮捕されるケースが少なくなり、刑法246条の趣旨である善良な民の財産を保護するという目的は薄まってしまい、代わりに「実際に金品が搾取された訳ではないから良ろしかろう」という詐欺師という犯罪行為を生業とする者の人権を守る立法趣旨になってしまうと考えるからです。詐欺未遂と詐欺既遂、同じ罪の内容で起訴するのだから問題ないと考えるのは、被害者になる一般人に対する法曹の欺瞞という物だ。既遂と未遂では裁判官の心証も違う物となるし、被告人もしみじみとした弁解の余地も出来てしまう。下手をすれば中止犯を狙ってくる可能性もある。ただでさえ逮捕が難しく、起訴しても立証が難しい詐欺罪について、そこまで気を遣う必要は無いと思いますが、いかがなもんでしょうか。

4630万円の誤送金と、使い込みの犯罪について考察してみた。

山口県阿武町の職員が、個人の口座に4630万円もの大金を誤って送金してしまったという事案が先日発覚した。

で、
その誤送金されたお金を犯人?(仮にAとします)がそのままアリガタヤとばかりに使い込んでしまい、事件が発覚し職員が返還を求めて連絡をするも、「罪は認める、が、お金はもう払い込みに使って無いので返還は拒否する」と返答したもんだから騒ぎは一気に全国区へと広がった。4630万円もの大金が、いきなり個人の口座に振り込まれてきて、これ幸いと使い込むのは常識的におかしい、Aは何らかの罪に問われるのではないか。と言う論調でネットの書き込みは溢れ、同じく今もワイドショーを先頭に、ネットニュース等でも世間を賑わせている事件となっているようだ。
ネットの書き込みを見ていると、使い込みと返還拒否に関しての犯罪性を問う内容の意見が多い事にちょっとばかり個人的に興味を抱いたので、この事件を出汁にして少し考えてみたい。

この事件は、刑事事件と民事事件の両方が混ざり合うような経緯を持っているので、多くの方がその両方をごっちゃに考えてしまう傾向があるようだが、日本の司法制度ではこの二つは厳密に分けて考えなければならない。
まずは刑事部門から考えてみよう。
Aは普通の生活を営む人間のようで、毎日のように5000万円前後のお金を右から左に取引をしているような者ではないようだ。どちらかと言うと毎月の支払いも厳しい生活をしていたフシも見られる。となると、誤送金されてきた4630万円を見た瞬間にAは絶対に自分とは関係の無いお金だと認識したと同時にびっくり仰天したはずである。しかしAは罪の意識はありつつも、差し迫っていた借金の返済に充ててしまったという顛末である。他人のお金だと分かっていて、それをネコババして使い込んでしまう事を刑法では「横領罪」という名前で定義している。この場合は、役所の職員が、間違いに気付く事も無く(=悪意無く)4630万円をAの口座に振り込んだ時点で、お金の所有者である阿武町の占有から離れている事になる。それをAがネコババしたわけだ。Aの罪を正確に言うと「占有離脱物横領罪」という事になる。何やらややこしい名前になったが世間的に言うと「拾得物横領罪」と言えば分かりますかね。要は「落とし物=持ち主の占有を離れた物」を「ネコババ=横領」したという罪になるわけです。この罪の刑は「1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料」と定められている。4630万円もの大金をネコババした犯人に問う罪にしては軽すぎるだろ・・・という話もあるが、これが刑法の考え方なのである。
いや、職員が間違えて振り込んだとしても、その数字は銀行によっても管理されているので占有を失ったとは言えないので窃盗罪に問えるのではないか?
と、どうしても納得がいかず、そう考える人もいるだろう。
と言うわけで、少し回り道するが、占有離脱物横領罪と窃盗罪と強盗罪についてそれぞれがどう違うのかを考えてみよう。検察がこの手の事件をどう言う判断で罪状に問うているのか、今後のニュースを読む上で大いに参考になると思います。
本来なら警察に届けなければならないとされている落とし物を、拾い主がネコババしてそのまま持ち去ったら「占有離脱物横領罪」になるという事は上述の通りだ。これには異論は無いだろう。ちなみに拾得物横領罪と言う言葉もあるが、法律の世界では通常は前者の言葉を使う。
一方「窃盗罪」というのは読んで字の如く他人の所有物を窃(ひそかに)盗(ぬすむ)という罪である。つまり他人の所有物で占有を離れていない物品を、ひそかに自分の占有下に置く事で「占有を奪う」と窃盗罪が成立する。わざわざ大事な所にカギ括弧まで付けて、私って試験官だとしたら優しいなぁ・・・(笑)。ちなみに電車のキセル乗車や食堂での食い逃げ、ホテルの無賃宿泊での逃亡等もサービスを盗んだという概念で窃盗罪となる。こういうのを利益窃盗と言う。
さらに凶悪で、他人を凶器で脅すなり傷つけるなりして、所有者の意に反して強引にその所有物を奪ったら「強盗罪」となる。奪った物が金品でなくとも、例えばナイフを突きつけて無銭飲食をした場合はもはや窃盗ではなく強盗罪が成立する。
と言う、以上の三つの罪状の成立要件を頭に入れておいた上で、次の例を考えてみよう。

通り魔がすれ違いざまに突き立てたナイフが、思いの他急所を突いてしまい、刺された被害者がたくさんの血を流しながら呻き声を上げた後にその場で倒れ込んで頭を強打し、そのまま動かなくなってしまった。通り魔は慌てたが、倒れた被害者の鞄が高価そうな物だったので、咄嗟に被害者の鞄をひったくってそのまま逃走した・・・。

さて、この通り魔は警察に捕まると、最終的には何の罪状で起訴される事になるだろうか・・・?
多くの方は、被害者を傷つけた(或いは殺した)挙げ句に「その者の意思に反して」鞄(金品)を奪って逃げているのだから強盗罪が成立する・・・と、考えるのではないだろうか。確かに法曹の人達の間ではそういう論評をする向きもあるのは確かである。況してや被害者が最終的に死亡したとなると、会った事もないイカレポンチに刺された挙げ句、大事な物まで奪われるなど気の毒以外の何物でも無いと考えるのが普通だろう。それに強盗の成立要件である「その者の意思に反して」という部分も成立しているので強盗で問題ないはずだ。
しかしこれは少数派の考えだったりします。
タネ明かしを話すと、通り魔は始めから金品を強奪する目的でナイフを突き立てた訳ではなく、単純に通り魔らしく(?)ナイフでちょっと傷を付けて逃げてやろうと犯行に及んだ物だ。この時点で強盗罪は成立しない事になる。ところが思った以上に深くナイフが突き立ってしまい被害者はその場で倒れ、頭まで強打して意識を失ってしまった。通り魔はその行きがけの駄賃という形で被害者の鞄を奪って逃げたのが事の顛末だ。つまり、通り魔はナイフを突き刺して最終的に被害者の意識を失わせ=占有を奪って、鞄を持ち去ったという解釈ができるのである。私は上述でカギ括弧まで付けて窃盗は「占有を奪う」事だと申し上げました。詰まる所このケースでは、この通り魔はナイフで傷を付けたので「傷害罪」もし被害者が死亡すれば「殺人罪」、それと鞄の占有を奪ったので「窃盗罪」の二罪が成立する事になります。これが私の習った刑法典の多数派(=一般論)の考え方です。

では、このケースで少し話を変えて考えてみよう。

通り魔がナイフを突き刺して、被害者が倒れ意識を失った後、通り魔は慌ててそのまま何も取らずに逃げてしまった。しかし、暫くしてその後どうなったのかやっぱり気になった通り魔は、その現場に再び戻ってみた所、刺された被害者は大量に出血した状態で既に事切れていた。通り魔は再び逃げようと思ったが、傍らに高価そうな鞄を見つけたので、咄嗟にその鞄を奪って逃げ去った・・・。

先の例と違う点は、通り魔が一旦現場から離れている点だ。この場合も結局通り魔が占有を奪った張本人なので、しかも殺しているので文句なしに殺人罪と窃盗罪に問われると思う人が多いかも知れないが、文句なしなのは殺人罪で、鞄を奪った事に関しては、すでに被害者は死んでいるので「占有から離れた物」と見做され占有離脱物横領罪という事になる。これが刑法典の多数派(=一般論)の考え方です。

「そんなバカな・・・。」

と、思う人も多いかも知れないが、刑事法や刑事訴訟法を習った事がある人間なら弁護士でなくともこう言う考え方をするのが普通だと思います。が、これはあくまで一般論であって、法廷は水物とか生き物と言われる場所でもありますので、警察の立件趣旨、実際の法廷を維持する事になる担当検事の考え方や、強いては裁判官の考え方によって罪状が変わる事は大いにあり得ると思います。何れにしても結果は同じなのに強盗罪には問えない点に留意すると、法律的な考え方とかが少し見えてくるのではないでしょうか。
 
さて、
長い回り道になりましたが、占有離脱物横領罪、窃盗罪、強盗罪の成立要件を理解できた所で、話を4630万円のネコババの話に戻しましょう。もう分かると思いますが、このネコババしたAは阿武町からも担当職員からも「占有を奪って」はいません。本当にどこからともなく降って湧いてきたようなお金だったわけです。つまり刑事裁判において窃盗罪には問えず占有離脱物横領罪で起訴するのが関の山という事になります。そうなると求刑内容は大金の割には軽い物になるし、間違えて振り込んでしまった職員の過失は非常に大きいので、弁護人は必ずその点を突いてくるでしょう。しかしAにも「分かっていて使い込んだ」という重過失があるので、実刑判決は取れるかも知れないが、罪刑が1年未満の懲役、10万円以下の罰金、科料で、しかも「罪は認める」としおらしい事を言っている点から、執行猶予が付く可能性も高く、警察も検察もいまいち力が入らないというのが本音ではないかと思います。

一方で、
4630万円の行方はどうなるかという事ですが、これは罪に問う刑事裁判ではなく、阿武町とAとの間で争われる「民事裁判」のお話となります。ちなみに先に言っておきますと「即時取得」という事にはなりません。即時取得というのは、明らかに所有権が放棄された物品(無主物と言う)に対して、それを拾得した者に与えられる新しい所有権であり、今回のように占有は離脱したが所有権が放棄されておらず、しかもお金となると即時取得は成立しません。
刑事裁判と民事裁判の行方は基本的には別々に進むので、刑事裁判でAが実刑を言い渡されたからと言って、民事裁判で「あんた犯罪者になったんだから全額返しなさい」とはなりません。裁判所は飽くまで阿武町側の言い分と、Aの言い分を勘案して、過失の割合を判定した上で審判を下します。ちなみに民事裁判では何でもかんでもお金に見積もって審判を下します。
ところがだ。
仮にA側に「阿武町側の過失分を差し引いて金2800万円を支払え」という審判が下されたとしましょう。
しかし、Aにその弁済能力が無かった場合は、阿武町側が今後いくら裁判謄本をA振りかざしたとしても、返金される事は無い事になります。つまり「相手の身体を奴隷に叩き売ってでも取り返す」という事は日本の法律は認めていない訳です。という事はどういう結果になるかを予想しますと、恐らく阿武町側が優位に進むとは思いますが最終的には調停によってA側が「無理のない範囲で毎月弁済する」という事に落ち着く気がします。もちろん、弁済中にAが死亡して相続人がいなければ、税金の塊は永久に返ってきません・・・。
もしかしたら、Aはここまでの事を見越して、突然手にした4630万円を使い込んでいたのだとしたら、相当な法律の知識がある事になると私は思う。或いは、そう言う知識を持った人間がバックに絡んでいる可能性が高い。つまり、かなり厄介な相手だという事だ。
しかし、しかしである。
実はAは4630万円を使いこんでなどおらず、法律知識を駆使して引き出した現金をどこかに隠していたとしたらどうだろうか。この場合は「占有を奪う」という要件が成立するので窃盗罪が成立する。窃盗罪の公訴時効は7年なので、警察も今後Aの行動には目を光らせる事になるだろう。仮に向こう7年間、Aがその金に手を付ける事無く時効で罪を免れたとしても、民事上の責任は逃れられないので、その現金が出てきたら返還しなければならない。そう考えると4630万円は大金ではあるが、Aの今後の人生を考えると決して遊んで暮らせるような大金ではないことが分かる。そう考えると、やはりAを出汁にして濡れ手に粟の如く大金を手に入れようとしている小賢しい人間がバックに潜んでいる事が充分に考えられる事件だと私は思うのですが、いかがなもんでしょうか。

<参考文献>
刑法おもしろ辞典(和久峻三)