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スマホゲームのドラゴンクエストウォークというのをやってみたが…。

何年か前に大流行した任天堂が世に放った「ポケモンGO」というゲーム。ゲームの中の世界と現実がクロスオーバーする形で物語が進められ、このゲームを皮切りにGPSの位置情報システムを用いたスマホ用のゲームが多数世に送り出されるきっかけになった。今で言う「位置ゲー」という奴である。

で、
今から一年半程前にこの位置ゲーの業界に鳴り物入りで参加してきたゲームがあった、それが今回話題に取り上げた「ドラゴンクエストウォーク」というスマホゲームである。
ドラゴンクエスト(以下:ドラクエ)と言うタイトルは、言うに及ばず30年前から日本…いや世界的(アメリカではドラゴンウォリアー)にも有名なゲームのビッグネームである。それがスマホの中で繰り広げられるドラクエの世界と現実の世界がクロスオーバーしてあの夢のような「冒険」が出来るとなると、ファミコンでリアルタイムにドラクエを楽しんだ世代の方はもちろん、ファンなら誰もがスマホにインストールしてしまうのは想像に難くない訳で、私もリアルタイム世代の一人として例に漏れず、この「ドラゴンクエストウォーク」(以下:ドラクエウォーク)を手持ちのiPhoneにインストールして実際にやってみた次第です。
 
ドラクエウォークがどういう位置ゲーかをざっくりと申しますと、基本的に無料で遊ぶ事が出来ます。で、ゲームの中の世界と実際の地理がクロスオーバーしており、ゲームの世界では「お城」があり、実際は三丁目の源さんの家の前か…みたいな感じで地図上に表示され「実際にその場所まで歩く事」でゲーム内の「お城」にたどり着けて、物語が進んでゆく…という感じです。もちろん現実にはそんな「お城」はありませんが、その目的地となる「お城」「塔」「街」等は、大体が150m~200m位歩いた先に自分である程度場を設定する事が出来ます。ゲームを進めていて気が付くと1kmほど歩いていたって感じですかね。
その途中にはもちろん魔物が現れて戦わなければゴールド(お金)も貯まらないしレベルも上がりません。まさにドラクエの世界に自身の身体ごと入り込める…と言った感じに作られています。
 
そうなると、やはりドラクエなので大事なのはレベルを上げる為と、強い武器や防具を手に入れる為のゴールド稼ぎの為に、どんどん魔物と戦って物語を進めて、エスタークのような超強いラスボスを倒しにいく事に…
 
ならねーんだよな、このドラクエウォークってヤツぁ。
 
そんなタダでゲームをプレイさせてくれて、今までのようなドラクエの世界を満喫させてくれる程、世の中は甘くないんですよ。
とりあえず結論から言いますと、これは私達の楽しんだ「ドラクエ」の世界ではありません。もう一度言います、このゲーム(?)の世界は「ドラクエの世界」ではありません。中にはそう思いたがってプレイしているユーチューバーやプレイヤーもいるようですが、制作者にどこかで歯車を飛ばされてしまったのでしょう、数百万ものお金をつぎ込んで、攻略だ何だとやっている方も多々いるようですが、冷静になると分かります。これはドラクエの世界観とは違う「位置ゲー」です。
 
<ドラクエウォークという名の世界では…>
久しぶりのサブタイトル…笑
それは置いといて、ではドラクエウォークの世界ではどうなっているかと言いますと、

1)どの職業も共通してレベルを上げても大して強くはなりませんし、実用的な技や魔法も覚えてゆきません。

2)一生懸命魔物を倒し続けてゴールドを幾ら貯め込んでも、強い武器や防具は一切買えません。
 
という具合になっております。
その代わり、以下のこういうシステムが導入されています。

1)モンスターを倒すと偶に「こころ」を入手できます。「こころ」にはモンスター毎に下からD、C、B、A、Sとランクがあって、ランダムで出る事になっています。Dが2つでCに出来たり、Cが3つでBにできたりと言ったランクアップも出来ますがSにしようと思ったら半年位かかるほど同じモンスターと戦わないといけません。レアなモンスターほど強くなれる「こころ」となっており、職業やレベルによって装備できるこころの数や特性があり、それによってHPやMP、呪文や耐性などが決まります。つまりはこの「こころシステム」がドラクエウォークの一つの特徴と言えます。「こころ」は魔物と戦っていれば手に入ります。極希にいきなり「S」のこころが出る事があります。よかったですね。

2)武器や防具にはその強さレア度から★3から★5までの3段階あって、一番派手で強い★5の入手方法は専ら「くじびき」となっております。★5の武器防具が出る確率は7%となっているそうですが、特定の★5アイテムとなると0.2%の確率になります。このくじ引きを引くには戦ったり、回復スポットに触れたり、歩いたりする事で得られる「マイレージ」を1000P貯めると1枚(1回分)貰えるふくびき券を使うか、偶に配布されるふくびき券、または「ジェム」というアイテム300個で1回、3000個で10個いっぺんに引くことが出来ます。この「ジェム」は何か設定された目的を果たすと入手できますが、300個、或いは3000個貯めようと思ったら1ヶ月位かかります。しかしこの「ジェム」は、課金する事によって「買う」事ができます。多少の割引もありますが相場はジェム1個=1円です。さて、先ほどのくじ引きの★5確率と重ねてみましょう。目的の物を手に入れるには、幾ら必要かもう分かりますね…。

3)ドラクエウォークの本筋の物語は一応あるが、2021年4月21日現在で第9章で止まっています。しかし、それとは関係の無い「イベント」が大体1ヶ月半のサイクルで間断なく催されます。このイベント期間が2)のくじ引きで引ける★5の特攻アイテム(ピックアップアイテムと言います)と密接に絡んでいて、このイベント期間が終わると、その★5アイテムのくじ引きも終了するので、入手は出来なくなります。だから、ユーチューバーや必死のパッチプレイヤーは「ジェム」を大枚叩いてでも購入して入手しようとします。ちなみにピックアップ武器と防具は一揃えすると、武器、兜、上鎧、下鎧、盾の5種類です。現実的に一揃えするには12~15万円かかると言われています。これがイベント毎に来る「課金の波」ですね。
 
とまぁ、こんな感じです。
上記の3)まで読んだ方は、とりあえず現実に戻ってきてください。「コレは一体何のゲームだったっけ?」と我に返りましょう。
そうです。
位置ゲーの「ドラクエウォーク」であって、課金しまくってアイテムをかき集めるゲームではありません。しかし現実には課金しまくってアイテムをかき集める…いや、現在のドラクエ7イベントの「聖風装備」のくじ引きから、何としてでもアイテムをかき集めなければならないゲームになってしまったと言って良いでしょう。
いくら「こころ」があろうとも、レベルが最高であろうとも、「武器」が無ければ強敵とは戦えません。そういうシステムですからしょうがありません。このくじ引きに設定されている「聖風の杖」というアイテムは強力な全体回復ができるアイテムで、これがないとこの先は一定以上の敵とはまともに戦う事はできません。すでにそういう魔物が設定されてもいます。と言う事は、その魔物の強力な「こころ」も手に入らないという事になります。つまりドラクエウォークのゲームシステムその物が崩壊してしまう事になります。
 
「ここから先は、課金してやってください」
 
という入り口が、このドラクエ7のイベントだと私は解していますがいかがでしょうか。結果、無課金の私はここでリタイヤする事にしました。半年先にはインフレと言って、敵の強さも武器の強さも桁が一つ上がるほどに数字が上がっている土俵になっている事でしょう。実際に私が始めた頃の敵ダメージは、たまたま引き当てたピックアップの天空のつるぎを使っても、せいぜい1000迄で歓声を上げていた物でしたが、それが今では4000~5000が普通です。
 
そもそもの話、
現在の最高レベルは70ですが、そこまで行ったプレイヤーと、今日から始める素っ裸のレベル1のプレイヤーが、同じ土俵の上で、同じように「ドラクエウォーク」を楽しめるはずがありません。って言うかイベントの魔物など一方は一撃で、一方は全滅をくりかえすのは推して知るべしです。しかし、ゲームを運営する側としては、プレイヤーの射幸心を煽ってアイテム集めに奔走させて課金させる事で利益を上げるのは当たり前の話ですから、これもまたゲームの世界の現実と言えば現実ですね。ちなみに私は昨年の秋頃からでしょうか、★5のピックアップアイテムは一切引き当てていません。最後に引いたのはスーパーノヴァでしたでしょうか。無課金ですので、ピックアップアイテムを一揃え出来た事もありません。気が付くと、ナンバリングタイトルでは聞いた事もないような魔法や技、アイテムが次々にイベントと共にリリースされてきます。
 
これって「ドラゴンクエストの世界」なんですか?
 
と、思わずツッコミを入れたくなるほど乖離しています。
ドラクエはやっぱり冒険をして、物語に巻き込まれて、魔物と戦って行くうちに強くなってゆく…と言うのがメインストリームだと思います。その基本はこのドラクエウォークにはもはや見当たらなくなってしまいました。寄付のつもりで1000円程課金しようかと昨年辺りは思えましたが、まさかゲーム自体をもう止めにしようと思うに至るとは思いませんでした。
やっぱ、セガの麻雀ゲームが私には一番息が長くて面白いかな。