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ドラマ「妻、小学生になる。」に出てくる・・・

Windowsの標準ブラウザがInternet ExplolerからMicrosoft Edgeになって久しいが、最近こうして記事を打っていると、いつの間にか打っていたブラウザが消えているという現象が頻発しています。今回も例に漏れず、これで二度目の記事打ちをさせられています。ウザったいのでテキストエディタで打ってからコピペすることにします。
 
さて、余談は置いといて本日の話題は先日までTBS系で放送されていた金曜ドラマ「妻、小学生になる。」に登場するカメラについてです。ネットでも少し話題になったようですね。お話その物は10年前に亡くなった妻が小学生に生まれ変わった姿になって家族の元に帰ってくる・・・」という内容なのですが、ネタバレになるといけないので、ご興味のある方はパラビ等で配信されていますのでそちらでご覧になってください。
で、
このドラマの主人公(?)である堤真一さん演ずる父親役の新島圭介は、第一話の冒頭で妻(石田ゆり子)が作ったお料理や家庭菜園で記念写真を撮ったりする場面が出てきます。割とサラリと流されてしまう場面ではあるのですが、カメラを趣味にしている者が見ると、結構興味深い場面だったりするんですね。と言うのは、圭介が撮影に使うカメラがマニュアルフォーカスのフィルムカメラなんですね。しかし第一話の冒頭シーンは妻が生きていた10年前の回想シーンなので、まだフィルムカメラが結構な割合で使用されていた事になるのですが、このカメラ、最終話の記念撮影の場面でも出てきます。つまり圭介は時間軸で言うデジカメ全盛からのミラーレス盛り盛りの現在でも、このマニュアルフォーカスのフィルムカメラを愛用している事になります。ドラマの制作陣もなかなか面白い演出をする物ですね。

さて、カメラを趣味にしている者とすると、この次に何のカメラを使っているのか・・・という興味に駆られる訳ですね(笑)。ネットでも少し話題になったようですし、私もカメラの名柄を調べるべく、録画したこのドラマを見返してみましたところ、このカメラが一番ハッキリと映っているのは最終話の記念撮影をする場面でした。ちょっとオトナの事情で堤真一さんまでが映った画像は掲載できないのですが、カメラを中心にトリミングするとこんな感じです。右にいる人物が堤さん演じる圭介ですね。
ファイル 160-1.jpg

第一話での場面でもそうでしたが、最終話のこの場面を見てハッキリと分かった事が二つあります。
一つは制作陣が、このカメラのメーカー名や名柄が映らないように、微妙に光の加減などを駆使して撮影している点です。その証拠に上記の映像にはカメラのメーカー名が入っているであろうペンタ部分と向かって左上の部分が映り込まないように工夫されているように見えます。
そして、もう一つは、このカメラの名柄が私には一発で分かってしまったと言うことです(笑)。だって、このカメラ、いつもと言うか今もこれを打っている私の視界の中にいるんですもん・・・(*^▽^*)。
このカメラは、まず間違いなくキヤノンのAE-1 Programというカメラです。正面から見るとこうなります。
ファイル 160-2.jpg

どうでしょうか。
レンズの上のペンタ部に至る形状、右側のボタンから肩にある巻き上げレバー、左側のレリーズやシャッターモードのツマミなど、もはや同じです。私のはモータードライブが付いているので厳つい感じになっていますが・・・。
ただ、ベルトは当時の物が無かったのでしょうか。私のはAE-1+Pを購入した当時のままのロス五輪(1984年)のマークの入ったオリジナルのベルトなんですが、ドラマの物は色が黒で真ん中のラインが無いように見えますね。まぁ、小道具さんもそこまでのコダワリはなかったという事でしょうかね。ちなみにこのカメラの感度の単位はISOではなくASAです。当時は「アーサー」と読んだ物ですが今の「イソ」よりもずっとスマートな感じがします。「イソ」って実は何か言いたくないんだよね・・・。今もたまに「アーサー」とか言ってしまう時あるし。
余談ですが、AE-1が発売される前は、キヤノンは完全電子制御式のAシリーズとしてフラグシップ機となるA-1というカメラを1977年に発売しています。この翌年にAV-1というカメラを出し、その2年後1980年にAE-1Programを発売します。キヤノンがカメラメーカーとしてイッパシの地位を築く事になったのは、私にはこのAE-1Programからではないかと思えます。AE-1Pは、そういう意味ではキヤノンファンの間では結構感慨深い機種になるんですね。そんなカメラを令和のドラマに引っ張り込んできたドラマ制作陣もやっぱりなかなか色がありますよね(^^)。ちなみに、これで勢いづいたキヤノンはその5ヶ月後に全部入りのNewF-1というそれまでのフラグシップだったA-1の存在を完全にかき消してしまうような新世代のフラグシップ機を発売します。

では、そんなAE-1Pに取り付いているレンズはと言いますと、これも恐らくキヤノンのFD 35-70mm/F4の標準ズームレンズだと思われます。当時は「サンゴーナナマル」と呼ばれたポピュラーなレンズですね。私のカメラにもFD 35-70mm/F4が付いていますが、このレンズには新旧数種類のバージョンがあって、レンズ前面の文字の並び方から推して、ドラマの物は私のよりも新しいモデルのものではないかと思います。ただ四時の方向に書かれた恐らくF値の文字数からするとF3.5-4.5の物ではなく「1:4」と記載されているようでF4で間違いないですね。文字も太くしっかり書き込まれていますので、私のモデルよりも新しいと思います。まぁ、レンズ側面のデザインとかがナウくなっているだけで、性能的にはあまり違いは無いんですけどね・・・。
ちなみに・・・
この頃のズームレンズというのは、今で言う「本物のズームレンズ」だったりします。これはどういう意味かと言いますと、いまの「ズーム」と呼ばれているレンズって、どいつもこいつもズームを動かすとピントがズレてしまいますよね。しかし、当時の「ズーム」というのはズームで画角を変えてもピントはズレなかったんです。だからこの35-70mmは凄く便利で私は今もAE-1Pで愛用している訳です。しかし、このズームとピントの関係を保とうとすると、高倍率ズームにした時に、望遠鏡のように長く大型になってしまうために、インナーフォーカスという手法が編み出されて、ピントはズレるんだけど小型化が可能という事でメーカーもこちらに舵を切ったと言う訳ですね。今現在ではスタジオで使うようなテレビカメラを除いては、ズームしてもピントが合っているという小粋なレンズは無いんじゃないでしょうか。そう言えば一眼レフで動画を撮影する方が増えていますけど、案外これって障害になってないのかな・・・。
 
と言う訳で、今日はテレビドラマに出てきたカメラの正体を暴いてみました。