記事一覧

東京五輪のエンブレム、撤回しましたが・・・。

佐野研二郎氏がデザインしたという東京五輪のエンブレムの一連の騒動は、なんだか佐野氏のいじめ大会みたいな様相を呈し、最終的に八方塞がりとなった時点で撤回・・・という感じになったように見える。
今更言うまでも無いんだけど、ベルギーのリエージュ劇場のロゴと似ていて、そのデザインをしたオリビエ・ドビ氏が使用の差し止め請求を訴えたのがきっかけだった。
それに対してどう思うかと言う辺りは、ネット上のあちこちの「徒然」なブログにもたくさん書き込まれているのでそちらを見て頂くとして、私はちょっと角度を変えてここに書いてみたい。

佐野氏の五輪エンブレムとドビ氏の劇場ロゴ。

似ていると言えば似ているし、違くね?って思えば違うようにも見える。でも総じて似て見えてしまうんだからしょうがない。そんな見ようによっては微妙な二つのロゴなんだけど、なぜドビ氏は速攻で著作権を盾に使用差し止めの請求をしたのだろうか?
一部の方は、ドビ氏や劇場の売名行為だとか、東京五輪への妬みだとか、佐野氏へのやっかみだとか考えた人も結構いるんじゃないだろうか?

ちなみに私がドビ氏だったら・・・。
やはり同じように使用の差し止め請求をしていると思います。
それはなぜか・・・?
それは東京五輪とベルギーくんだりの劇場とでは、ロゴの使用規模も知名度も何もかもが違いすぎるからだ。方やワールドクラスのイベントで使われるのに対し、一方はせいぜいベルギーの国内で若干有名になる程度の物だ。この差はどう足掻いても埋まらない。
そんな状況下で、

「似ているが、よく見ると違うよ。気にせず使ってくれ」

とドビ氏がにっこり微笑んでオトナな対応をしたとしよう。
東京五輪は遠慮無くそのエンブレムを世界規模で流布してフィーバーすることになる。これは五輪開催期間がピークにはなるが、実際は今から7年間そういう事が続く訳だ。
そんな感じで広がったベルギーの劇場ロゴに似ている東京五輪のエンブレム。ドビ氏がにっこり微笑んで・・・という出来事をしっかりと知っている人は良いが、大多数の知らない人は、時を隔てるとその知名度と既成概念から、

「ベルギーのリエージュ劇場のロゴが東京五輪のロゴに似ている」

と言い出すバカがきっと出てくる。言い出さないまでも、思い込んで語らない大バカもきっと湧く。
まぁ、知っている人間が話の経緯を説明するだろうが、その説明する人間もだんだんいなくなってくる訳でして、結局二つのロゴの関係は、五輪優勢という逆転現象が起こりうる訳です。今後いちいち説明がいるのも面倒臭い話だ。ドビ氏が速攻で使用差し止めを請求した本意はここに有ると私は思う。(と信じる)
だから私もドビ氏の行動を支持するんです。

一方で、
佐野氏の行動は、ちょっと私には不思議に見える。
デザイナーであったなら、世界中の・・・とまでは言いませんが、それなりに名前のある施設や企業などのエンブレムやロゴは、それなりにプロの知識として蓄積されていると思うんですよね。そのプロ中のプロとも言える一流デザイナーが描いた五輪エンブレムが、なぜベルギーの劇場のロゴに似ていたんだろう?っていうのが私にはずっと疑問。
一流デザイナーなら、後世にもその名前が残るであろう東京五輪のエンブレムのデザインという仕事なら、今までの我の集大成のように取り組んでそれはそれは魂の籠もったロゴを創り出すだろうと思うのだ。
当然出来上がったロゴは、どこかのロゴに似ていないかなど徹底的に調べ上げるだろう。或いは元々何かに似るはずのないロゴをデザインすると思われる。それがプロの一流デザイナーという物だと思うのだ。それに更に複数の人間で審査した上で選ばれたロゴなら、尚更のことであろう。実際に新国立競技場のデザインは、どこの国にも存在しないようなデザインだ。あれはそういう目で見ると優れているのだ。

それが・・・

いとも簡単にどこかの劇場に似ていると指摘されてしまうとは・・・。私には正直理解が出来ない。
私はあの東京五輪のエンブレムのデザインは佐野氏本人が手がけたものでは無いように思われるんですよね。部下に作らせた複数のデザイン案から少し加味して応募したものではないかと・・・。
そんな事を考えている中で、今度は佐野氏の事務所が世に送り出してきた過去作デザインに、多くの盗用が見つかり指摘されるという事態になった。私の目で見ても、指摘されているロゴは完全にアウトだと私は思う。これらも佐野氏自身が手がけたというのなら、私は結論として佐野氏のデザイン能力は、もう枯れてしまっていると解釈する。音楽の世界もそうだが、一時的に発想が広がる時ってあるんですよね。でも年齢とともに根気が無くなって枯れていくんですよ。人によってはその下降が緩やかだったり、書き貯めておいた過去作品を小出しにしたりして凌いだり、あるいは自覚して引退したり・・・。
一方、
部下が作ったロゴデザインが、軒並み指摘されているのだとしたら、佐野氏自身のマネジメント力も問われるとは思うが、それ以上に、部下にあまり良く思われていない人なのではないかと・・・?

「またエラそうに社員に丸投げしやがって!ミスは社員の責任、手柄は社長の独り占めってか!?」

みたいに思われているなら、多少頷けるんだよな。笑
佐野氏に対して心良く思っていない社員なら、盗用を埋め込んだデザインを世に送り出すようなこともやってのける可能性がある。
どっちにしても、佐野氏のデザイン事務所は前途多難であることには間違いないですね。

という、ちょっとナナメ切りな本日の日記でした。