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東京湾唯一の島、猿島での撮り歩き。

月一で東京へカメラ教室に行かれていた写友(以下Aさん)が、数ヶ月前にその教程が終了したような事を言ってました。何年間か通われていたと思いますが、やりきるという辺りは凄いですね。
その時のレッスン仲間の方と、ネット仲間を合わせたカメラ好き集団で猿島へ撮影に行くのでご一緒にどうだろうか?というお誘いを2ヶ月近く前にいただいた。写友だけでなく一緒にレッスンを受けていた方からも是非と言っていただいているようで、有難い話ですので快諾させていただいた。
というわけで、先日の5月26日に東京湾に唯一浮かぶ無人島、猿島に私を含むカメラ好き6人で現地集合の元行って参りました。

事前にAさんに、どんな所かと聞いてみた所、戦闘の記録はないが戦時中の海軍の砲塁跡や当時のレンガ造りのトンネルなどが残る小島で、関西で言う所の友が島のような所…との事だった。

友が島…。

わたしはまだ実際に行った事は無いが、何度も足を運ぼうと思った所で、リサーチはそれなりにしていた所である。
暑くなりそうだし、海に少し入って島側の撮影もしちゃおうかと思ってウレタンサンダルに半パン、Tシャツという出で立ちで猿島に渡ろうと思っていた私に、Aさんは、その格好ではちょっと撮り歩きは厳しいのではないか?と忠告をしてくださった。
Aさんは友が島に実際に行っている人だったので、私には充分な説得力があった。で、装備は普通の靴に改めることに…。(^^;

そこへ今度は現地の主催者クラスの方からメールが飛んできました。
「まだ海開きされておらず船着き場の売店は全休状態で水飲み場も無い状態です…。水、昼食は各自で用意してください…。なお、当日は気温30度近くまで上がりそうです。」
というような内容だった。
Aさんの忠告も相まって、まるで飛行機で不時着し無人島へ漂着したような状況から始まるような気分になる…。
「それなりの装備はあった方が良さそうですね。」
と、Aさん。
少し装備レベルを上げましょうと言うことで、私は山行の紫外線カットの服装で上着なしの格好に変更し、Aさんと共に水分補給にハイドレーションの装備をしてゆく事にしました。リュックもカメラ用から日帰り山用に変更。とりあえずこれで日焼けはせず、脱水状態は無くなった訳ですが…。

猿島への渡島は26日でしたので、前日の25日夕刻にAさんと出発し翌早朝に横浜に到着、そこで参加者2名と合流。1名は女性でなんと新潟からの参加。もう一人は埼玉からと言うから、最遠距離参加の私たちが言うのもなんですが、今回の撮影参加者の裾野の広さには超驚きです。
猿島に渡る船は、横須賀・三笠公園の桟橋から出ていますので、しばらく横浜の大桟橋で休憩の後に4人で横須賀へ移動し、そこで残り2名と合流。今回のフルメンバーが揃いました。
桟橋近くにあるチケット売り場で猿島への船代1300円と入島代200円を支払います。なんか変な料金体系ですが、恐らく利益の落ち所が違うのでしょうな。

三笠桟橋からは既に猿島がはっきりと見える程の距離です。こんな感じです。
ファイル 38-1.jpg

この日は地元の中学生かな?遠足っぽいイベントと重なってしまい、船上はお祭りのように賑やかです。多分島内でも賑やかでしょうな。(^^;
この中学生達の出で立ちを見た時、既に私とAさんは過剰装備である事が薄々分かっておりました。
船で揺られる事10分程度。猿島に到着です。
ファイル 38-2.jpg

桟橋に降り立った瞬間思いました。
これはかつてオーストラリアのグレートバリアリーフに浮かぶ観光島、グリーン島に降り立った時の感覚だ…。
桟橋の雰囲気もまさにそんな感じでした。賑やかな学生さん達の姿が、嫌が応にもグリーン島での多数の観光客の賑わいを思い出させます。しかも桟橋の向こうには広いバーベキューの広場が…。
その時私(恐らくAさんも…)は悟りました。
ここは、無人島だけど首都圏の人達がくつろぐ、リゾートアイランドなのだと…。笑

友が島のようなサバイバルチックなイメージを想像していた私(と多分Aさん)は、完全に肩すかしの助を食らった感じです。梅雨前でただでさえシーズン開け気分満開の私には、さらにテンションが下がる結果に…。それでも、せっかく誘っていただいた撮り歩き会です。純粋にわいわいとしたこの時間を、童心に戻って楽しむ決心をしました。もう撮影とかは皆さんに任せて…みたいな。笑

島内は、全部が見て回れるように小径が張り巡らされており、所々で海にまで降りられるようになっている。それも階段が用意されていて至れり尽くせりという感じだ。しかし、越前・雄島のように周回路にはなっていないので、道の突端まで行ったら引き返して…と言う感じで見て回る事になる。
砲塁跡もちょこまかとあるが、地元のおっちゃんの解説でも入ってこないと実感が沸かない感じの痕跡という感じです。雰囲気を感じるのは時々くぐる事になるレンガと漆喰のトンネル。友が島にも見られる当時を思わせる設備だ。
ファイル 38-3.jpg

気温は23度くらいまで上がったようだが、梅雨前という事もあり湿度が低いので鬱蒼とした木陰の小径だととても爽やかだった。若干汗ばむものの、汗だくになる程ではない。まぁ私は軽登山の装備なので余裕だったんですが…笑
たまに眼前に広がる高いレンガの壁は、さすがに戦時中の面影を感じずにはいられない雰囲気だ。
それが、さらに高い所で鬱蒼と繁茂する雑木の影と、その間からこぼれ落ちてくる僅かな日光で育つシダ類の緑のコントラストが非常に綺麗に見えた。これはさすがに私もファインダーを向けました。
ファイル 38-4.jpg

しかし…
そんな雰囲気を醸し出すレンガのトンネルではあるのですが、気になったのはやたらと漆喰が白かった事と、レンガにカビや苔の汚れがあまりない所が結構あった事。
友が島の場合は、本当に放置されているので老朽して朽ち落ちていたりするんですが、猿島はその形跡が全く無いんですね。しかもやたら綺麗…。
「これって本当に70年前の遺跡なんでしょうか?」
と、思わず苦言を呈してしまった私。
由緒ある戦争を物語る無人島から、単なるアトラクションなしのレジャーランドになってしまう感があったので、それ以上のツッコミは止めましたが…。
そして、もう一つ気になったのは、島に生命感が全く無いんですね。まぁ海開きをしていないから…という向きもありますが、そう言う事ではなくて、野生の猿とか鹿とか猪とか、そう言うのが全くいない。いればいたで大変なんでしょうけど、いなければいないで何を楽しむ島なのか…?と言う感じです。
島地主に提案です。
海開き期間だけでも、せめてコンゴウインコでも島の数カ所で待機させようぜ。どうせならグリーン島を見習った方がいいかも…。
というわけで、カメラ好き6人の期待に応えたのかどうなのか…。ちょっと?な猿島の撮り歩き会は、そんな感じで終了したのでした。
最後に私が一番印象に残った場所の写真で締めくくります。
トンネルを抜けると、そこは苔むした壁面がそびえる、当時を唯一忍ばせる場所でした。
ファイル 38-5.jpg