記事一覧

終わってる中古PCの購入にご注意を

パソコンの価格が高騰しているのをご存じだろうか。
今回は、世界シェアで9割を占めるWindowsが搭載されているパソコンについて語ってみたいと思います。
 
(Windows)パソコンという機械は、一定の規格(IBM規格と言います)に基づいて製作されたパーツが集積されて成り立っている機械です。主要なパーツを挙げますと
 
1)マザーボード(メイン基板)
2)CPU(中央演算処理装置/GPU内蔵)
3)メインメモリ基板(一時記憶装置)
4)ハードドライブ(SSDやハードディスク)
 
この4つがパソコンを構成している主要パーツです。そして、副次的なパーツとして以下の物があります。

5)電源ユニット(PCに電気を供給する装置)
6)キーボード/マウス
7)PCケース(パソコンの外枠)

 
上記のパーツでPCとしての体裁が整います。で、オプションパーツとして

8)光学ドライブ(DVD、Blu-rayドライブ)
9)GPU/グラフィックボード(3D演算処理加速装置)
10)テレビチューナー(PCでテレビを見る為の物)
 
等があります。
絶対に必要なのは1)~6)実はこれだけあれば中身むき出しでもパソコンとして使えます。各パーツを取っ替え引っ替えして使っているような方は、実際に剥き出し状態で使っている方もいます。これに7)を加えるとお店で売っているパソコンの形になります。普通の方はこの状態で使っていると言うわけです。
少し昔のパソコンだと8)の光学ドライブが付いていたりしますが、最近ではすっかりニーズが無くなり、ほとんど付いていません。9)のGPUは一般的なPCにはCPUにその機能が内蔵されており、通常のPCには付いていません。3Dの演算加速装置(3Dアクセラレータと言います)ですので、3Dグルグルのゲームをされる方や、CAD等のソフトウェアを使う方が付けておられますが、これを付けると値段が跳ね上がります。自慢ではありませんが私のメインPCにはGPUだけで一般の方のPC1台が買えるような物を付けております(自慢しとるやん:笑)。

さて、上記で何故3つの区分に分けて書いたかと言いますと、パソコンの価格に大きく関わってくるからです。
1)~4)の主要パーツはパソコンには必ず必要な構成パーツです。パソコンの価格はこの4パーツで8割位を占めてきます(これ大事)。なので、この4パーツのうちのどれか、或いは全部の性能を抑えると、パソコンの価格は大幅に安くあげる事ができます。安いパソコンにはこの4パーツのうちのどれか、或いは全部が古い物だったり、性能が低い物だったり、安い素材で作られた物が使われています。
 
或いは・・・
 
CPUにCore i7 とか書かれていても、モニターと本体が一体型の場合は、パソコンの中身はノートパソコンの物が使われています。ノートパソコンを見ると分かると思いますが、モニターを外して本体の前面に貼り付けて脚を付け、キーボードとマウスを繋げれば一体型パソコンになりますよね。有名メーカーなどがよく販売しているお洒落な一体型パソコンは実はノートパソコンをその形にした物だったりします。正規のデスクトップPCと何が違うのかと言いますと、ノートパソコンの場合はバッテリー駆動を考慮する必要がある為、1)~4)の主要パーツに低電圧駆動の物が使われているのが普通です。どうやって低電圧駆動を実現しているのかというと、要するに性能を抑えて実現しています。理屈で考えれば分かるはずです。電源の許す限り無尽蔵に電気が使える物と、10Wまでという制限のある物では、出せる性能も当然違ってくるのは道理です。私の感覚ではノートPCのCore i7は正規のデスクトップPCで言うとPentiumかよく行ってCore i3位の性能に思えます。いくら処理スレッドが多くても全体的な処理速度に限界がありますから当然です。
しかし、ゲーミングノートPCとかクリエイティブノートPCとか言う名前で売られている物は、Core i7搭載は当然としても目玉が飛び出るほど高額ですよね。これは何が違うのかと言いますと、バッテリー駆動時間には多少の目をつぶって、9)のGPUを内蔵しているのがその理由と思われ勝ちですが、まぁそれも有ると言えばそうですが正確には違います。高額になるのは144Hzとか240Hzと言った高リフレッシュレートで2Kや4K等の高解像度のモニターパネルが使われており、それを駆動させる為のGPUが採用されているのが高額になっている理由です。要はモニターが高価なのです。
 
さて、ここからが本題なのですが、
 
パソコンのパーツという物は、現在は日本国内で開発、生産されている物は殆どありません。って言うかほぼ全て輸入品と言っても良いでしょう。輸入に頼っているという事は、その価格はその時の為替レートによって常に変動するという事を意味します。「パソコンが安い」「某社は3万円台で売っている!」等と騒げた時代は、実はもう10年前に終わっています。某D社やG社等が挙って安価なパソコンを売り出していた全盛の時代は為替レートが1ドル80円前後だった時代の話です。その後自民党政権になり、110円前後の時代が長く続いたわけですが、単純に30円円安に振れていますので、それなりに高くなっていたわけです。が、大メーカーは大量生産する事によってその差額分を吸収してなんとかやっていました。しかし、今般のコロナによる人的な不足、部材の不足、そして急激な円安が重なった事により、安価なパーツが安定的に供給されなくなってしまった為、現在は底値当時の約2.5倍のパーツ価格となっています。
2020年12月現在の状況を鑑みますと、私が見る限りでは半導体不足というのはパソコンパーツに於いては既に解消している物と思われます。何よりも一番大きいのが円安による価格の高騰だと思われます。
実際に以前3万円台で販売されていたグレードのパソコン本体が、現在は7万円前後で販売されているという感じがしております。パソコンの安売りをあまり大々的に宣伝しなくなったのは、そういう時代が終わった事を意味しているのです。それでも「パソコンは安い」という夢を見続けている方はいるもので、今度は安い時代に作られた中古PCに走ってしまう事があるんですね・・・。
それはそれで個人の自由ですので構わない事なのですが、WindowsのPCに関しては現行のWindows10のサポート終了が2025年10月14日に終了とマイクロソフトが公表しておりまして、絶対的な寿命が存在しております。
ではその時にWindows11を購入してインストールし直せば良いではないかと、ちょっと知ってる方は思うかも知れませんが、Windows11のPCになるにはハード的な制約が課せられておりまして、ちょっと古いPCだとその制約に引っかかってWindows11にはなれないという事になります。
Windows11は現在既に供給されておりまして、Windows10のPCを使っていてWindows11になれるPCの場合は、日々のアップデートを素直に行っておれば、無償でWindows11になってくれます。しかし、Windows11になれないPCの場合は「要件を満たしていません」という表示がされてサポートは2025年10月14日までという事になってしまいます。
 
もうお分かりですね。
 
中古PCでやたら安く売られている物は、私が見る限りではWindows11にはなれないPCです。
Windows11になれるPCは、中古でも結構新しいPCになりますので、新品を買った方が・・・って考えてしまうような、それなりのお値段がしています。安もんにはそれなりの理由があるというわけですね。
では安く中古PCを買ってきて、自前でWindows11になれるPCにパーツを更新すれば良いのではないかと考える猛者もいるかも知れませんが、本当の猛者はそんな事しません。だって更新するパーツが始めに述べた主要4パーツだからです。この4パーツでパソコンの8割の値段を占めると私は言いました。つまり、中古PCを買って自炊しても安くは上がらないというわけです。
ショップによってはこのWindows11になれない、つまり「事実上終わっているパソコン」を、投げ売りしている場面もたまに見かけますが、生兵法は大けがの元と言いますので、店員ではなく、それなりにPCの事を知っている方に相談するのがよろしいと思います。ちなみに、官公庁のリースアップ品の安物を集団販売で買った人は救いようがないです。自力でがんばってください。
 
あと、Windows11になれないPCでも裏技を使うとWindows11をインストールする事ができるようになります。つまり10年前のPCでもWindows11になれてしまうのです。この方法はマイクロソフト自身が公表した方法で、違法でも何でもありません。
しかし、マイクロソフトがこの方法を公表したのは「Windows11の素晴らしさを、より多くの方に経験してもらいたいから」と言っています。それと同時に「要件を満たしていない事実は変わりませんから、将来的なアップデートがされなかったり、起動しなくなったりと言った不具合が出ても知りません」とも仰っています。
つまり、Windows11にしてやったぜと、ほくそ笑むのも束の間、その後の容赦の無いWindows11のアップデートによって、ある日突然動いていたアプリが動かなくなったり、銀行取引が出来なくなったりといった不具合が出てくる可能性があるわけです。近所のちょっと知ってる知人に裏技でWinodws11にしてもらった方は要注意ですね。また知識ある方も無責任に「Windows11にできるよ」等と言って手を下さない事です。パソコンは簡単に動いているようで、実は非常に複雑な機械だという事を忘れてはいけません。パソコンは作成する事よりも修復する事の方が千倍のスキルが必要なのです。