記事一覧

三脚はアルミかカーボンか・・・。

時流に乗って、何も考えずカーボン三脚をポチってしまう直前に、アルミ三脚ってどうなんだろうか・・・?
と、疑問を持ってしまい、ネットで調べ始めたら訳が分からなくなったという話をよく耳にします。実際にどちらが良いのでしょうか。これははっきり言って答えはお金と時間を使って自分で探すしかありません。本当にそうなのです。
この質問を知り合いのカメラマン等に聞いてしまうと・・・
カーボン万歳の人の場合、軽いとか振動が伝わりにくいとか、よいよいずくめの事を並び立てるし、経験は浅いけど何だか自信満々の人だったらカーボンに決まってるみたいな言い方で奨めても来るでしょう。
一方、目の前で大砲レンズが付いたフラグシップカメラが、風に煽られてジッツォの三脚と共にぶっ倒れてデカいレンズ玉がコロコロ~と転がる所や、そんな場面を幾度とみている私に言わせると、カーボンが必ずしも正解では無いと言いたくもなってくるんですよね。
カーボンとアルミ三脚の比較をしているレビューサイトはたくさんあるけど、私の経験から余計な話をそぎ落とすと、エレベーション無しで1.5m位まで伸びるサイズで、同じ雲台を乗せた場合のカーボン三脚とアルミ三脚の比較はネイチャーステージでの使用の場合凡そ以下のようになる。
 
1)カーボン三脚の方が700g位軽い。もう少し言うと600~1000g位軽い。これを大きなアドバンテージと捉えるかどうかは個人の感覚次第だろう。私個人は2kg位軽くなるなら買おうとも思えるが、1kg以下なら今の所はアルミを持ち出す。
 
2)振動吸収性に関しては、実際に差を感じた事は無い。体感するほどの地面や強風の揺れを感じる場合は、間違いなくどっちも揺れる。そんな場合は揺れない工夫をするか、インターバル撮影で数を撮ってアタリを引く撮影をします。地下鉄の振動があるとか凄い強風だからといって「ここはカーボン三脚だな」などと選ぶ事はまず無い。
 
3)強風下で倒れる場面を目にしたのはカーボンの方が多い。これはどうしてもヘッドヘビーのアンバランスな重量配分になるのが原因だと思う。強風で倒れるのを見た事が無いというカメラマンは、カメアシ付きのブルジョワ写真家か、国内外問わず幸運にも元々そういう所で撮影をした経験が無いのだろう。自然って、ものすげーんだぜ。でも、風速10m以上の突風が吹くような場面だとヘビー級のアルミ三脚でも倒れると思う。でもやっぱり倒れやすいのはカーボンだと思う。フックにバッグを吊して嵩増ししている人をよく見かけるが、あれははっきり言って余計に揺れます。鞄が地面に付く長さのチェーンとS字フックで嵩増しすると意味を成します。それが現実です。
 
とまぁ、時代はカーボンみたいな風潮がありますけど、今もアルミ三脚を開発販売されている現状を見ると、何でもカーボン、どこでもカーボンという訳でもない理由があると言う事を知っておいた方が良いです。フルサイズミラーレスになったからと言ってレフ機とそれほど重さも変わるわけでもありませんので状況は今まで通りです。要は三脚は撮影する場所に応じて選んで持っていくと言うのが正解です。それでもカーボンがどうとかと嘯くなら、カーボン三脚一本持って、伊丹空港の千里川土手の着陸機の軸線上に、ご自慢の機材を乗っけて撮影してみると良い。きっと三脚から手が離せないから・・・。私は161MK2Bで撮ったりするので余裕ですけど・・・と、しつこいヤツには悪態も突きたくなります。初心者の方は道具一つ購入するにも大いに悩みます。予算もそれほど掛けられる立場ではないかも知れません。果たして自分だけの経験で視野が足りたアドバイスが出来ているのかどうかは、常に考慮して回答しなくてはなりません。それが先駆者の責任だと思います。
私の場合、そんなに若い歳でもありませんが、カーボンでも700gほど軽くなるだけならあまり意味は無いと思い、鍛錬も兼ねてアルミ三脚をいつも持ち出しています。もう一度言います。機材選びは自分に合った物を全方位的に考えて購入する事です。主流だの流行だのと言った事はどうでも良いのです。
ちなみに私が一番持ち出す事が多い三脚はスリックの500DXとか言うAMT合金の三脚に昔からあるフリーターン雲台が付いた物です。風景ではマンフロットのアルミ055に410ギア雲台を付けた物です。花火や超望遠では重宝するセットです。長野のコハクチョウや北海道でのオオワシ撮影ではアルミの三段一脚に自由雲台またはマンフロットの475Bに498RC2自由雲台を付けていました。理由は敢えて申しません。私の行く場所では私自身にそういうニーズがあったので選択したまでです。
三脚は自分の大事な機材を預ける機材です。今はカーボンでしょ・・・等と言った本来はノリで選ぶような機材では無いのです。自分のニーズをよく考えて購入されてくださいませ。