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小型ドローンのWi-Fi中継

最近ドローンでの撮影にハマっている私です。
特に今面白いなと思っているのは、DJIが技術提供をしたというライズテック社から販売されている「Tello」という僅か89gのHDカメラ付きの小型軽量ドローン。航空法で言う200g未満の無人回転翼機ですので、航空法の適用外になる為、法令上の許可だのと言った面倒でややこしい面がなく、安全に配慮さえすれば気軽にどこでも飛ばせます(他法令で特段に禁止されている場所を除く)。200g未満のドローンは「無人回転翼機」等という仰々しい呼び方は世間ではされておらず、おもちゃという意味を込めて「トイドローン」と一般的には呼ばれています。
トイドローンは、専用のコントローラがある物もありますが、Telloなどカメラを搭載した機種の場合は、大抵その本体とスマホをWi-Fiで接続し、専用のコントロールアプリを使って目視とスマホに映るドローンからの映像を見ながら操作をします。最近では高性能なトイドローンも出てきており、2022年春には100g未満にするという法改正もほぼ決定されているようですが、89gのTelloに関しては、そんな話もどこ吹く風という話ですね。
今回は、そんなTelloをテーマに書いていきたいと思います。
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Telloは小型軽量ゆえの泣き所が多々あります。

1)とにかく風に弱い
野外で飛ばす場合、圧倒的に風に弱いです。Telloだと風速3m程の風だと、もう糸の切れた凧の如く、どこへ飛んで行くか分かりません。屋内でも扇風機の前は鬼門だと思います(笑)。

2)GPSを搭載していない
TelloにはGPSが内蔵されていませんので、位置情報を使って飛行するという概念がありません。つまりフルマニュアルです。しかしビジョンポジショニングという映像から立ち位置を自律で決めて飛行する機能がありますので、ホバリングは驚く程安定しています。

3)コントロール範囲が狭い
TelloがハブとなってスマホとWi-Fiで接続してワイヤレスでコントロールする為、Telloとスマホの電力の問題もあって、操作できる範囲が狭いです。概ね自分を中心に10mまでの範囲が安定区域といえます。Mavic Air2等は5km位まで届くので、かなり狭いですね。
 
その他にも上級機に比べると映像面だとか細かい機能が端折られていますが、そこはトイドローンです。パッと出してチャっと飛ばしてパッとしまう…そんなカジュアルな飛行が可能なのが利点と考えると、とても楽しいドローンです。
しかし、安定コントロール範囲が直線で10m以内というのは、トイドローンと言えど余りにも狭い…。泣く程狭い…。
 
そこで…
 
この範囲を伸ばしてくれる、つまりは3)の泣き所を少しでも克服してくれる「Wi-Fi中継機」という機械があったりします。
どういう物かというと、通常はTelloとスマホを直接Wi-Fiで繋ぐのですが、この間に「Wi-Fi中継機」を挟む事で、TelloはスマホのWi-Fi範囲を超えて、より遠く、より高く飛ぶ事が出来るようになります。この中継機の事を「レピーター」と呼ぶ事もあります。
間違えてはいけないのは、中継機はTelloとスマホのWi-Fi電波を飽くまで「中継ぎ」する事で電波範囲を広げる物であって、電波を増幅する物ではありません。増幅する=出力を上げる装置は「トランスミッター」と言って全く別の機械です(無許可無免許で一定以上増幅すると電波法違反です)。たまに間違えてブログに書いている人がいるので勘違いしないようにしてくださいね。
 
ではその中継機とは実際どこで売っているのかと言いますと、アマゾンなどの通販はもちろん、どこの電気屋さんでも売っています(笑)。とりわけトイドローンで使われているのは、小型の中継機でモバイルバッテリーからUSB給電で動作する物が多いようです。これをあたかもトイドローン専用の中継機のように語っているブログも散見しますが専用品なんて本当はありません。実は家庭用のWi-Fiルーターに中継機能があれば、そのルーターが中継機能を果たしてくれます。
私は車にACコンセントが挿せるバッテリーを積んでいますので、ソフトバンク光に加入してBBユニットを使う羽目になり、結果余っていたバッファロー製のWSR-2533DHPというルーターを使って、実際に設定、Telloを飛行させてみた所、難なく成功しました。って言うかAC電源のルータなので電波出力も小型の物に比べると断トツで強く安定します。お手持ちのルーターに中継機能があるかどうかは各メーカーのHP等で調べてください。
ファイル 143-2.jpg
 
実際の設定は、ルーターを中継機モードで起動し、パソコンに繋ぐかスマホで設定画面に入ります(ルーターのマニュアル読んでね)。その後Telloを起動すると、ルーターの設定画面に中継するTelloのSSIDが表示されますので、それを拾って接続設定を行います。一度行えば電源を抜いてもルーターは次回からTelloの電波が来たら自動で接続してくれるようになります。つまりルーターはTello専用の中継機と化します。
ちなみにこの時、ルーターの5GHzのWi-Fi機能は必ず切っておきましょう。5GHz帯の電波は野外では使用してはいけない決まりになっているからです。それができないルーターは残念ながら電波法違反になるので野外では使えません。どうしても使いたい場合はアマチュア無線の免許を取って、電管に申請して無線局の開局許可を取らなければいけません。Telloごときでここまでやる必要はありませんね…。
一方、スマホ側は何も考えず、いつも通りTelloのSSIDを拾って繋いでください。これでスマホはTelloかルーターのどちらか強い電波の方を自動的に切り替えつつ繋いだ状態を維持してくれます。

ちなみにWSR-2533DHPを用いた実際の飛行では、10mどころか30m先でも余裕でした。上空は風が強かったので止めましたが、多分30mなど余裕だと思います。ルーターをバッテリーもろとも広場の真ん中に置くと、もっと凄い事になりそうでしたが、目視外飛行になるのでやめました。家庭用ルーター、ヤバいっすね…。
ちなみに2階の部屋にルーターを置いてTelloを置き、1階の居間からFPVで飛行させるという芸当も可能です。
ところで、わざわざこれをやる利点は、コントロール範囲が広がる事はもちろんですが、Telloからの映像がグッと安定し、ノイズやコマ落ちの無い綺麗な映像が撮れる期待が出来る事です。Telloにはメモリカードが挿せず、専らWi-Fiで送られてくる映像が録画されますので、私の場合はその目的の方が大きかったですね。中継機を車窓からひょいとルーフラックに置けば、クルマを中心にTelloは広範な撮影に応じてくれるようになります。頑張ってみる価値はあったかなと思っています。
しかしTelloを別のコントローラーでさらわれないように、Wi-Fiにパスワードをかけておいた方が良いと初めて思った今日この頃でした。