記事一覧

意外と難しいネガデュープ

さて、前回はAPS-Cとタムキューという、比較的ポピュラーな機材を使ってニコンのES-1を用いての35mmフィルムのデュープ機材をコンプリートする所までやりましたので、今回は実際にネガを撮影してデジタル画にする所までの要領を書き記しておこう。

ポジのデュープに関しては、それ程問題は無い。ポジは見たまんまの画像を見ながら撮影して、お手本を見ながらデジタル処理で色を近づけてゆく事が出来るからだ。
一方のネガとなると実はちょっとややこしい。と言うのも、ネガは色が反転されている事に加えてフィルムベースにオレンジ色のマスクがかかっているからだ。元々カラーフィルムというのは機械での現像処理を前提として作られているようで、現像処理剤の色傾向や焼き付け処理の関係上からあの微妙なオレンジ色でマスクがかかっている。らしいのだ。
しかし、今回のようにデュープを行う場合はこのオレンジを何とかして除去しておかないと、後のデジタル処理で面倒な事になる。その方法は、撮影時に使うバックライトに青い光源を使うという方法だ。正確にはフィルムベースのオレンジ色に対する正反対色。よって青い光源と言う事になる。出来ればその青も調整が出来る物が良い。となると何が使えるかというと、身近なものではパソコンのモニター。或いは7inch以上のタブレット辺りが良い事になってくる。普通の蛍光灯バックライトなどでも代用は可能だが、セロファン等を使う事になるので、正確な正反対色の青を作り出す事はちょっと難しい=後の処理で面倒臭くなる事になる。
私はNEXUS7を持っているので、それにLightboxというおあつらえ向きのアプリを入れて使用しました。
正反対色を作り出す要領は、面倒ではあるが、それ程難しくはない。
まず、フィルムの端っこの方の何も写っていない部分をマウントに挟んでES-1にセットする。で、バックライトを当ててファインダーを覗く。後は色の調整で白く見えるようにバックライトの色を変えてゆく。要するに色を変えてみて、白く見えたら撮影してみて、パソコンで撮像を確認して…と言うのを繰り返して、「白」かなと思うポイントを探すのだ。富士のフィルムだと、微妙に緑が混ざった明るい空色という感じの色が「白」かな?と思う色になりました。
仮に真っ白のバックライトでデュープすると、ネガ反転した時には作業者の顔色と同じく真っ青になってしまいます。こんな感じ。
ファイル 20-1.jpg

これだと、大量にイエローとオレンジを加えて、自然色に近づけてゆく事になりますが、多分青すぎてオレンジをソフトの許すめいっぱいまで加えてもまだ青いと思います。元々青が乗っていますから、青が強く出る傾向があるので、面倒ですが諦めて「白」になる色相を探し出しましょう。
この作業さえクリアすれば、後はもう撮影してゆくのみだ。
AFが使えるので非常に簡単にデュープができる。
若干のホコリが乗ってしまったが、こんな具合だ。
ファイル 20-2.jpg

お花の写真も、割と苦労もなく、こんな感じに仕上がった。
ファイル 20-3.jpg

撮影条件は、D90のISO200でF11絞り優先オートのRAW。現像はAdobe Lightroom5で行った。オレンジベースの相殺も良好で、ネガ反転した時のヒストグラムもほぼ一定の所でまとまっていましたが、色温度や全体の彩度はあまり触らない方が良いようで、トーンカーブのブルーを重点的に調整してゆく方が自然に近い感じになった。必要ならオレンジやイエローを足して微調整してゆく。空が入っていると、わざとらしい空色になっている場合があるので、その場合は色相を微妙に触って整えると良いようだ。やはりバックライトでのオレンジ相殺が、全てを決定するという感じだ。
ただし、DPE店で仕上がってくる写真に限りなく近づける事は出来ても、デジカメの撮像と同じような鮮明で明瞭な画像にする事はできないと思う。そこは逆にフィルムの味と理解しよう。デジカメと同じにしたいのなら、はじめからデジカメで撮影すれば良いだけの事だ。フィルムの味わい深い色彩をパソコン上でも再現するのがこの度の目的だという原点を忘れてはならない。
それにしても、デジカメの解像力には改めて驚かされた。フィルムの粒子までが写っている所を見ると、デジタルはもはやフィルムを遙かに凌いでいたという事ですね。凄いね。しかし、この粒子こそがフィルムの特徴であり、決してデジタルでは再現出来ない物だったりするんですよね。
最後に、最新の条件で撮影した金閣のフィルム変換画像です。
かなり綺麗に仕上がっていると思いますが、いかがなもんでしょうか。
ファイル 20-4.jpg

綺麗に仕上げられるという事は、ここから如何様にも加工が出来る範囲が広がるという事ですね。とりあえず、本物には敵いませんけどソラリス風にした物を…。
ファイル 20-5.jpg

フィルムデュープの忘備録

何か色々と考えながら、試行錯誤を繰り返して、要約APS-Cカメラを用いてフィルムからデジタル画を起こす方法が自分なりに確立出来てきたので、ここで一度忘備録がてらに書き記しておきたいと思う。
当初はAF NIKKOR 35-70mm MACRO付に中間リングを付けていたが、この方法だとピント合わせがマニュアルで面倒臭いのと、ピントを合わせる作業をするとレンズ先端が回るレンズなので画角が斜めになり、これまたウザったい事になるのと、撮像の大きさ調整も面倒臭いという三重苦に陥ってしまうので、機械的にデュープを行ってゆくには少々無理がある。
本来なら40mm MACROとステップダウンリングを使えば一番簡単なのだが、安いとは言えそれだけの為に40mm MACROを購入するのは、ちょっと生き方として私には合わないので、ここはいっちょ私の持っている唯一のマクロレンズとなるタムロン90mmで防備録としておきたいと思う。
使ったカメラはD90。これにタムロンSP 90mm/F2.8を取り付けて35mmフィルムをデュープするには、当然像が大きく映りすぎてお話にならない。つまりレンズとES-1の間をもっと離してやる必要がある。離す方法は幾つか方法があるが、私はこんな事にあまりコストを掛けたくないので100均で売っている工作用のボール紙を使って筒を作り、ES-1とタムキューの間に挟む事によって距離を稼ぐ事にした。ES-1側は固定が簡単だが、タムキュー先端には筒にねじ込む物が何も存在しないので厄介だ。レンズフードの固定枠にねじ込むように筒を作っても良いが、それだと筒をテーパーにする必要があり、作成難易度が飛躍的に上がるし離す距離をいつも一定とするのは難しくなる。つまり精度を取れない=面倒な事になる。
そこでタムキューの先端をES-1側と同じ径で嵩増しする事にした。幸いタムキューはフルサイズ対応レンズである事とフィルター径は55mmなので、ケラレもなく何となく上手く行きそうだ。
とりあえず現状は、中古屋で安く買ってきたレンズ保護用のフィルター(私はSKYLIGHT)を装着してあるので、これで5mm程嵩増しができてはいるが全然足りないので、どうしようかと色々とAmazon様を漁っているとKenko レンズメタルフードというのを見つけた。フィルターのように取り付ける金属製のフードだ。長さは25mm位あるようでこれをタムキューに取り付ければ紙筒をねじ込む余地が出来る。
しかもこのフード、複数個を連結して装着する事も出来るようだ。早速55mm径の物を購入しようと思ったが、ちょっと待った!!
よく見ると、55mm径対応の物だとフードの外径が少し大きいように見えた。どうやらこのフード、55mmだと先端側は58mmと言う風に、1段づつ大きくなっていくようだ。まぁフードなので連結使用の場合は大きくなってゆく方が理に適っているからそれはそうなんだろうけど…。面倒臭いな…。(-_-;
色々と調べて、ES-1側と外径がほぼ同じ物は52mmのフードを使うと良い事が分かった。早速55→52mmのステップダウンリングとKMH-52BKを手配する。ちなみに私のような目的の場合は連結使用は当然不可だ。何はともあれ、紙筒をねじ込む余地が30mm近くできたので、まぁ充分だろう。
次に紙筒。ねじ込むのでそれ程の精度は要らない。ある程度距離を離してES-1に挟んだ35mmフィルムがカメラの画角に収まればOKだ。短めに作ってES-1のねじ込む具合で距離を微調整しても良いだろう。しかし私はここで苦労しておいたら後が楽なんじゃないかと思って、距離をある程度割り出してみた所、大体143mmと出た。この辺で作っておくと何も考えずにES-1を一杯までねじ込んで、レンズ側も一杯までねじ込むと丁度良い案配になる。微調整はセロテープで盛ってやれば良い。ちなみに紙の横幅は55×3.141592…です。172mmあたりが出ますけど光が漏れ入っては意味が無いので私は190mmで作りました。あと、レンズフードも白がありますけど、そこはキヤノンの真似をしなくてもいいです。白っぽい材料を使うと、おかしな反射光が出来たりして、おかしな仕上がりになる事が多いので、写真器具を自作する時は、基本的に全て黒い物を使いましょう。本当は紙筒も黒い厚紙で作ると良いです。これ、憶えておくといいですよ。

と言う訳で、
こんな風な感じになりました。ちょっと暗い画像だけど我慢してちょ。
ファイル 19-1.jpg

左がES-1、右が擦った揉んだで購入にこぎ着けたフードとステップダウンリングだ。
こんな風にES-1を紙筒にねじ込んで、タムキューにはフードを取り付けてからねじ込む。
ファイル 19-2.jpg

紙製なので上下左右の精度があまり良くないので、レンズ側の紙筒の縁にセロテープで盛って画角を微調整すると完成だ。
ファイル 19-3.jpg

ちなみにES-1はマウント化されたポジフィルムをデュープする事を想定した用品なので、そのままではネガやポジのスリーブに使う事は出来ない(無理に使うとフィルムに傷が付くよ)。なので面倒だが紙でマウントの代わりになるイーゼルマスクを作る必要がある。
ファイル 19-4.jpg

好きなように作っても良いが、135のコマサイズは知っての通り36mm×24mm。このコマサイズでイーゼルを作成すると実際に使う段になるときっちりとフィルムをセットする事になり、非常に面倒臭い事になる。

「少し大きめに作って置けば良いじゃないのか?」

と、写真を知らない方は思ってしまうだろう。カメラ歴が長くてそう思った方は、今までラボや暗室に入った事の無い人なのだろう。
周囲の何も写っていない所を含めてデュープすると、そこから入る光は真っ白なので、実際の撮像に影響を与えてしまうのだ。つまり周囲が明るくなり、周辺光量低下とは逆の事が起こる。あとのデジタル処理でただせば良いかも知れないが、非常に面倒臭いと思います。だからコマサイズよりも1mm程小さいサイズにしておく。周囲が少し切られてしまうが、それはしょうが無いのだ。写真って今も昔もそうなんです。だからキヤノンF-1等の視野率100%のファインダーで喜んだのは、ポジで撮って直接印刷屋に持ち込むブン屋のカメラマンか、広告カメラマンだけだったのだ。一般ピーポーは視野率93%と言うのが、実際にDPE店で仕上がってくる写真の視野率にほぼ合致しており、またスライドマウントの窓も93%であった事から、非常に理に適ってたんですな。そんな事も知らずに当時視野率100%だ何だと騒いでいた一般カメラマンは、ハッキリ言って私にはバカにしか見えなかったし、実際に視野率100%のカメラは、ネガやポジはマウント仕上げで引き渡す仕事が主であった私は使い物にならなかったのでF801を採用していたのだ。フィルム時代はプロアマ問わず、そういうカメラマンが圧倒的に多かったはずだ。フィルムを使う以上は、これは今も変わらない理屈なんじゃないかな。知るは一時の恥、知らぬは一生の恥というので、ここでこっそり知っておこう。

さて、全ての道具が揃ったので、次回は実際にバックライトを当ててデュープしてみよう。