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デカい口径にしたのなら、ニコン様にお願い。

なんか、特にフルサイズミラーレスに参入してからこっち、業績不振に喘いでいますねぇ・・・ニコン様。
実はなかなかの機能が搭載されているんだけど、宣伝が下手で世間様に知られず、売れ行きがイマイチになってしまうニコン様。
条件だらけで、実はそれほどでもない機能なんだけど、巧みにセンセーショナルな宣伝をして売れ行きに結びつけてゆくキヤノン様。
私には昔からこういうイメージがあります。キヤノン信者の方には失礼だが、あくまで個人的なイメージなので悪しからず。
 
ま、キヤノン様やソニー様の事はひとまず置いといて、今日はニコン様へ提言というお話。って言うか、古くはフィルム時代から、デジカメを手にした頃からは特に言っている事なんだけどね。
ニコンのFマウントに関してはフィルム時代からの産物も多くあるのでしょうがない面もあったんだけど、フルサイズミラーレスのZマウントでは、理想のレンズを実現する為に口径を大きくしたのなら是非やって欲しい事があるんだよな。それが真四角センサーを搭載したカメラ。
レンズというのは、皆が知っている通り原型は真円である。で、ガラスの厚みを真ん中と端っこで適度に変える事によって拡大したり縮小したり、物を歪ませて見えるようにしているわけですね。
しかし、光というのは色によって屈折率が違っており、レンズを通すと赤、青、緑の要素が分解されてしまいます。そうすると、カメラの場合、写真の端っこ方で色がズレて何だかピンボケしたような画像になってしまいます。この色ずれを「色収差(しきしゅうさ)」というのですが、カメラのレンズではこれを補正する為に出来るだけ屈折を出さない素材や、色んな凹凸のレンズを組み合わせて広角や望遠のレンズが作られています。レンズに6群8枚とか書かれているのがそうです。ちなみに重ねるレンズが少ない方がヌケが良くスカッとした画質になりますが色収差を除去するのが困難になります。ここら辺がレンズメーカーの凌ぎを削る所なのですね。ヌケの良さや色収差等ががわかりにくい場合は、夜景の遠景を撮ってみると一発で分かります。アタリのレンズ(高価なレンズでは無い)だと遠景の灯りまできっちり写っていますが、ハズレのレンズはどんなにピントを合わせても遠景の灯りが綿棒の先で色を塗ったようにボヤけているはずです。そういうレンズは夜景撮影には向かない事が多いですが、そこにこだわりすぎると単焦点に行き着いてしまいますからほどほどに・・・。
 
閑話休題。
レンズ作成の難しさに色収差を挙げましたが、レンズの造り出す画像の歪みは色収差だけではありませんので、ここからは「収差」と言います。
レンズの原型が真円であり、真ん中が一番収差が少なく、尚且つ眼鏡と違ってカメラにはそのまま真円のレンズが使われている・・・にもかかわらず、何故デジタルになった昨今のカメラには、全メーカーが申し合わせたように3:2の横長の撮像センサー(フィルムに相当)が使われているのでしょうか。フィルム時代はしょうが無かったにしても、デジタルの場合は画像までカメラで完結するのでセンサーの比率は各メーカーが独自の思想でサイズを決めれば良いはずです。現にAPS-CとかAPS-Hとかフォーサーズとかいっぱい出ているわけですが、なぜか真四角サイズは一つもありません。意味が分かりません。
 
図で示しますと、例えばフルサイズのレンズにフルサイズのカメラを、又はAPS-C用レンズにAPS-Cのカメラを組み合わせると、レンズとセンサーの関係はこうなります。
ファイル 134-1.jpg
真円のレンズに横長のセンサーを使うので、両横の収差がどうしてもキツく出てしまいます。ハズレのレンズだと尚更です。特にフルサイズの場合はレンズも大きくなる為、収差の除去などにより高度な技術が必要になるのでコストが上がります。だからフルサイズ用のレンズは大きく重く高額なのですね。
このフルサイズ用のレンズにAPS-Cカメラを組み合わせるとこうなります。
ファイル 134-2.jpg
こうなるとレンズのオイシイ部分だけを使う事になりますので、周囲は切られてしまいますが収差に関しては改善できます。私はこのパターンが割かし好きです。ただ、結構な望遠になってしまうのが玉に瑕ですが・・・。
ちなみに、中盤用のレンズにマウントアダプターを付けてフルサイズで撮影するというプロカメラマンの方もいらっしゃいます。これは目から鱗だった。実際に周囲まですごく綺麗に写っています(原画を戴いたのでわかります)。
ニコンがZマウントで口径を最大に大きくしたのは、実はこの状態をしれっと作りたかったからだと思います。そうすれば周辺減光も含めた収差をカットして小さかったFマウントに比べて大幅に画質を改善できることになるからです。大きな真円(イメージサークルと言います)になった事に合わせて、レンズとセンサーの距離(フランジバック)を短くする事で、レンズ作成の幅も拡げています。
つまり色収差はレンズの素材や設計で改善するよりも、カットしてしまう方が良いとニコンは判断したと思うのです。私はこれは正解だと思います。実際に本気のZマウントレンズの画質は、他メーカーのどの画質よりも頭一つ抜けている程に綺麗です。これはきちんと見比べれば分かります。
 
で、そんなこんなで口径を拡げたなら、真四角センサーを搭載したカメラも出して欲しいのです。そうするとこういう感じになります。
ファイル 134-3.jpg
イメージサークルよりもちょっぴり小さなセンサーというのがミソです。要は4x5や8x10に倣っているわけですが、センサーを真四角にする事で、カメラを縦にしたり横にしたりして撮影する事が無くなりますので撮影の手間とコマ数が半分くらいに減らせます(これが有り難い)。画像の収差が均一になりますのでアオリなどの補正現像がやりやすくなる。さらに現像時にトリミングで縦なり横なりに自分で構図を決め直せる。などなど・・・。メリットはあれどデメリットはせっかくカットした収差がまた出てきてしまうと言う以外に、べつに無いと思いますがいかがでしょうかニコン様。
ちなみにZマウントと言わずFマウントのカメラでもいいので、これを出して欲しいと今でも思います。
 
これをやると、何か問題でもあるんですかね・・・?
せっかく苦労して造ったレンズですよ。端から端まで無駄なく使えるカメラを出しましょうよ。