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魅せる写真の要素

魅力的な写真を撮って、しれっとネットで公開したり、または展覧会に展示したい・・・そこまではいかなくとも、せめて身内や友人に良い写真だね~と言ってもらえるようになりたい・・・とは、カメラを始めた人ならば、誰もが一度は抱く感情だと思いますがいかがなもんでしょうか?
カメラがデジカメになり、カメラ本体、主レンズといった一通りの撮影道具を買いそろえると、撮影に関しては金も物も特に減る物も無く撮影を楽しめるようになった昨今、ネットの向こうはかなりの盛況ぶりですね。かくいう私もFBなりmixiなりで魅力たっぷりの素晴らしい四季折々のお写真を拝見させて頂いている今日この頃であります。

さて、今日はその写真の魅力の要素について、一つ大事な事が飛んでしまっている方が結構見られますので、ちょこっとここに書いておこうかな~と思った次第です。
魅力的な写真の要素というと、真っ先に思いつくのは、写真の構図であったり、シャッターチャンスであったり、色味であったり、空気感であったりと、この辺りが第一義的に出てくるのではないでしょうか。しかし、それらが込められた写真であるにもかかわらず、イマイチ伝わってこない写真も確かにあるわけでして・・・それはなぜだろうか?って、あまり考える人はいないのだろうか?

結論から言ってしまうと、写真を人に見せる上で、一番大事な要素は構図や色味ではありません。一番大事なのは写真の「大きさ」なのです。幾ら千載一遇のチャンスをモノにした、素晴らしい写真であっても、手札サイズであったり、640×400ドットと言った小さいサイズで見せられると、ぱっと見は素晴らしいとは思えるだろうけど、ディティールまでは見えない(或いは見ない)ため、「ふーん、凄いね。」で終ってしまう事が多いのだ。
逆に、大した事の無い行きがけの駄賃で撮ったようなスナップ写真であっても、紙焼きなら4つ切りやA4判以上、パソコンなら長辺2000ドット以上の画面一杯に広がるほどの大きさで見せられると、細部にまで目をやってじっとりと見入ってしまうのが人間なのだ。
ところが、何を勿体ぶっているのか長辺600ドット程度にまで縮小してアップしていたり、折角の展覧会なのに、たくさん展示したいが為に小さな写真を所狭しと貼り付けて見せていたりする人が結構いるんですね。
もう一度いっておきましょう。

「魅せる写真の第一要素は大きさ」

これであります。
あと、同じ被写体で2席、3席の写真は組み写真や被写体紹介、テーマ性の意図がないなら見せなくて良いです。むしろ引っ込めておきましょう。2席、3席の写真は、1席の写真の値打ちを大幅に下げます。100点の写真であっても2席を出した途端に40点位になります。3席があるともう10点くらいになり、しつこいな・・・という評価に繋がります。理由は簡単、点数基準が3席が中心になってしまうからです。一般の人の評価眼ってそんなもんです。

それと写真に付ける表題とキャプション。
これって結構センスを問われます。私は一軍の写真にだけ表題を付けていて、それ以外は付けていません。そうやって渾身の一枚であるという自覚を自分に植え付けています。それはそれとして、大事なのはキャプションですね。要するに説明文。ネットのSNS等に掲載する場合は、1枚の写真に持って回った説明などは要らないと思います。いつ、どこで撮ったか。それで充分です。私は安もんの機材を使っていますので、フルサイズと思われそうな写真には撮影機材も書き込んでいます。初出しの時はそれだけあれば十二分です。天気がどうだの、この被写体はどうだのと言った図鑑のようなくだりは紹介記事として掲載する以外は不要です。
要は、

「こういう写真です。お好きなように見たまんま批評してください。」

という訳です。
本当にウマい老舗料理屋へ行くと、料理人は食べ方にいちいち説明を付けてきません。「XXを料理しました。どうぞ、お好きなように食べてください」と言われます。一方、中途半端な店ほどウンチクが多く、食べ方まで説明臭い事が多いのと同じですね。「黙って食え!」なんて客を罵るような某ラーメン屋など私に言わせれば言語道断の最低な店です(これは余談:笑)。
最小限の情報だけを与える事によって、見る人はあなたの作品を見て、考えて、何かを感じ取ります。そして何かを批評してくれます。何も言わない人もいれば、一言残してゆく人もいてくれたりします。それがその作品に対する評価ですから、自分の意図とは関係なく有難く受け取っておきましょう。それは間違いなく次作に生きるはずです。

まとめますと、
1)一番良いのだけを、
2)許せる限りの最大の大きさで、
3)最小限の情報を付けて見せると言う事です。

これができているカメラマンさんの写真は、私はとても気持良く拝見する事が出来ますし、話も弾みます。
逆に一つでもやっちゃっている作品になると、魅力を感じ取る幅が狭くなってしまい、批評のしようが無くなり、言葉を失ってしまいます。
展覧会や個展でたくさんの写真を出されるなら、主役の写真は許せる限り大きく引き伸ばして見せ、脇役はそこそこで良いと思います。6つ切り位のばかりが順不同でやたら並んでいるのは、それぞれの写真は良くても、足を引っ張り合ってしまって、良さに気付かない事が多かったりします。
「そんな中でさえも、彼(彼女)の才能を見逃さず・・・」
なんてテレビドラマみたいな展開は現実世界ではありませんので悪しからずです。

なんか・・・
写真の構図とか、色味とか、多くの方が思いつきそうな事とは全く違う要素ばかりになってしまいましたが、こういう事なんです。
というわけで、魅せる写真の要素・・・でした。ちょーーん。