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フィルムの話なので、今やどうでも良いんですけど。

今日は昔あったカラーネガフィルムの話。
今も下記のように自信たっぷりに弁舌する人がいますね。
 
・富士は緑系が強い。
・コダックは黄色みが強い。
・コニカは赤みが強い。
 
と言う事だそうです。
また、この話をしておいてパッケージの色味に出る・・・と、ご説明される方もいらっしゃいまして・・・。コニカの箱は青かったじゃないか?と言う方もいると思いますが、コニカの前身であるサクラカラーの箱は赤かったんです。正確にはオレンジっぽい赤。
 
ちなみに上記の話は、実は全部ウソです。
 
こう言うと、当時(今)のメーカーの人間に聞いたんだから間違いないとか、開発者に聞いたんだから・・・とか、ちょっと自慢の混ざった感じで反論してくる小賢しいのが出てくるんですが、ウソな物はウソなんだからしょうがないです。
それでも反論してくる小賢しいのは、多分床屋の回転する赤青白の看板は動脈と静脈と包帯を表していると説明しかねない輩だ。(笑)
 
答は逆。
 
パッケージの色が先入観となって、そういう発色になっているかのように思えて、いつしかそう言われるようになったというのが正しい話です。別に各メーカーの主観でパッケージの色に合わせた発色をするようには作ってはいません。基本的には各メーカーが(当時は)自然だと見える発色になるように作っているので、それほど大きな違いは無いです。
ちなみにカラーフィルムは自動現像機(自現機)で現像する事を前提に作られており、コダックはC-41、富士はCN-16、コニカ(小西六)はCNK-4という現像プロセスを踏みます。なお、街中でよくあったDPEショップの現像プロセスは更に簡略化された手順で現像されていました。もっと言うと、純正店では無い激安DPEショップでは、安価な互換現像液が使われていました。
印画紙に至ってもコダックはコダックの、富士は富士の、コニカはコニカの印画紙を使用しますし、それぞれ現像液の種類も違います。
つまりカラーネガフィルムは使用するフィルム、現像するプロセス、紙焼きのプロセスの組み合わせによって色味は千変万化という感じになります。特に焼き付けに至っては、カラー現像機の自動補正+担当者のカンと経験による色補正が入る為、同じネガであるにも拘わらず、お店によって全然違う色になりますから、焼き増しの場合は同じ店であっても色見本をつけて依頼するのがテッパンでした。だから焼き増しは高かったのです。
 
色味は、それだけではありません。
 
フィルムは何本単位かまでは存じませんが、同じ条件下で製造された一塊の単位にロットナンバー(エマルジョンナンバー)というのが割り振られており、このロットナンバーが変わると、メーカー的には同じように作ってはいる物の、やはり乳剤の配合が微妙に変わる為、色調も微妙に変わるのです。(私はわかりませんけど)
また、自動現像機の液にも同じようにエマルジョンナンバーが振られており、何番のエマルジョンで現像したかの記録がネガには記されています。フィルムの端にシールが貼ってあったでしょ?
ロットナンバーがよく理解できない方は、毛糸で編み物をする女性(お母ちゃん)に聞いてみると分り易く教えてくれますよ~。毛糸にもロットナンバーがありますから・・・。
プロカメラマンは、撮影した条件を記録として残し、それを有効なものにする為に、フィルムのロットナンバーを控え、現像のエマルジョンナンバーにもこだわります。試し撮りをした後、微妙にフィルターをかけて本撮影をした後に、エマルジョンが変わってしまう前に現像に出す・・・プロは実際にここまでやっておられました。
 
ここまで言えばもう小賢しい輩もわかるでしょ?
 
・富士は緑系が強い。
・コダックは黄色みが強い。
・コニカは赤みが強い。
 
なんてもんは迷信と言っても過言では無い程の物である事が・・・。
箱の色が、多くの人にそういう風に思わせる先入観を作り出し、いつしかまことしやかに言われ出したいい加減な事なんですよ。

「それはウソですわ。1枚の写真になるまでに補正がかかるし、かけないと写真にならないのがカラー現像やし。富士が青で、コダックが黄色でとか、全然そんな事ないですよ。仮にそうであったとしても、多分分からないと思いますよ。」

当時のベテランラボマンが言っていた言葉です。
かく言う私も当時気になって、3社のネガを撮り較べてみましたが、全然そんな事はありませんでした。少なくとも1枚の写真になる頃には、黄色いとか青いとか赤いとか・・・そんなの全く分からないし、仮にそうであったとしても1枚だけで見るとまず分かる人なんていないと思います。
 
ちなみに白黒ですが、ILFORDのパッケージは白く、AGFAは黒いですが、どっちもほぼ同じです。富士は緑色ですが、やっぱり白黒は白黒ですよ。笑