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音楽家を襲う恐怖の病気。

私は音楽家ではありませんが、結構長いこと趣味でギターを弾いて遊んでいます。飽くまで趣味でやっていますので、飽きて弾かなくなった時期があったり、のめり込みすぎてベースを買ってみたり、はたまた飽きて弾かなくなったり・・・。
そんなこんなで四半世紀くらいギターとは即かず離れずの付き合いをしております。
昨年末辺りからまた弾き始めた訳ですが、はっきり言ってもう人生も半世紀をとっくに過ぎた歳だし、今更音楽理論だの基礎練習だのと言った事からはやりたくないわけです。もっと気楽にギターを玩具として遊びたい、弾き始めた理由はただそれだけです。
そんな時にYoutTube先生のエレキギターのパワーコードの話をたまたま見ました。ざっくり言うとパワーコードとはこんな説明でした。
 
「パワーコードとは、メジャーとかマイナーとかは関係なく、とりあえず1度と5度の2音を使ってコードトーンとして弾いちゃう奏法」
 
という感じでした。
おお、これなら今の私にもできるぜ。と思える内容でした。さらにそのYouTube先生は
 
「パワーコードしか弾けない。それで全然構わないです。それが弾けるようになるだけで、ギターはめちゃ楽しくなります。」
 
と言ってくれました。このYouTube先生の一言で私にも楽しく弾けるんじゃないだろうかと初めて思えたわけです。
正直、コードやスケールはある程度は知っていましたが、実際の曲に合わせてどう弾くかっていうのは私には分かっていませんでした。だから曲の間奏のコピーをやったり、フルコードを弾いてみたり、果ては基礎練習の反復と、今思うと楽しくなるはずがない事ばかりをやっていました。
しかし、今回からはガラリと趣向を変えて、エレキギター(しか今は持っていない)でパワーコードだけを押さえて自分の好きな曲に合わせて弾いてみたのです。パワーコードは2カ所を押さえて弾くだけなのでとても簡単です。曲について弾けるようになってくると、自分のギターの音色が曲に溶け込んで「おお!俺弾いてるじゃん!」っていう気分にさせてくれました。
今までに無かった楽しさを教えてくれたYouTube先生は偉大ですね。どのチャンネルだったか忘れましたけど今も感謝です。そこから私はペンタトニックスケールを織り交ぜて、パワーコードとソロパートを即興で弾くようになってゆきます。で、トライアドというコード構成の基本となる3音のコードを用いた奏法なども、曲を流して実践的に練習しておりました。
少し前にも書いたと思いますが、今はヤマハのミキサーを使って、エフェクターを通したギター音とiPhoneの音源をミックスしてヘッドフォンでミックス音を聞きながら弾いております。曲の再生アプリはヤマハのコードトラッカーで、なんと無料でどんな曲でもその場でコードを解析して、再生しながらリアルタイムでコードを表示してくれるんですね。私のようにコードパターンとか、音楽理論をすっ飛ばしている人間には、まさに神のようなアプリです。
iPhoneで音楽をかけて、表示されるコードに合わせて、パワーコードやトライアド、ペンタトニックスケールなどを弾いて楽しむという感じです。有名ギタリストの難しいテクニック等は私にはどこ吹く風です。楽曲中に出てくるソロパートも、自分なりの即興ソロを弾いて、キマった気がしたら一人で悦に入っているという感じですね。基礎練習とか反復練習とかって何ですか?って感じです。自分の奏法が飽きてきたら、たまにYouTube先生を見て「なるほど、そんな奏法もあるのか」ってなもんで、出来そうなら自分の奏法に取り入れてみる。無理っぽかったら素直にやめます。w
そんな事をしているうちに、右腕を酷使しすぎたようで、上腕が痛くなってスマホゲームとギターのドクターストップを食らってしまいました。正直めちゃ痛いです。今はリハビリで少しマシになりましたが、それでも湿布とお友達状態で、ギターもスマホゲームもやめています。気が付くと熱を持って炎症を起こしてたんですね~。ちょっと楽しみすぎたかなって感じです。また技術的な物がリセットされるんでしょうけど、また弾けるようになったら楽しみたいなと思っています。
 
そんな時です。
 
自分の上腕と肩の痛みについてネットで色々と調べていて知った病気なのですが、音楽家を襲うもっと恐ろしい病気がある事を知りました。その病名は「フォーカル・ジストニア」という、何だかおどろおどろしい名前の病気です。
 
<練習すればするほど弾けなくなるのは・・・危険!>
久しぶりのサブタイトルです。
それはさておきフォーカル・ジストニアです(以下ジストニア)。
どういう病気かというと、ある日を境にそれまで演奏できていた箇所や奏法が、突然できなくなる。つまり、指が思い通りに動かなくなるという病気です。スポーツ選手ではイップスと言ったりするらしいですから、この名を聞くと知ってる!ってなる人も多いんじゃないかと。
このジストニアの厄介な所は、自然治癒がない事。
そうです。私のような趣味でギターを弾いている人間はともかくとして、それに夢をかけているような人や、現在それで飯を食っているようなプロの方には致命的な病気と言える物です。
発症例が多いのはピアノのような鍵盤楽器とギターのような弦を弾く楽器だそうです。発症する事が多い人の特徴としては、ネット先生によると・・・

1)高度な演奏をする人
2)練習も含めて演奏時間が長い人
3)幼少期から演奏の訓練をしている人
4)反復練習を一生懸命する人
5)演奏に心理的プレッシャーを感じやすい人

等々だそうです。あと男性に多いと言うのもあるようですが、私は鍵盤系では女性の発症例しか見ていませんし、弾弦系では両性で見ましたので、これは楽器別の人口にも関わってくるのでとりあえずは上記の人は要注意という事ですね。

で、これを治す究極の方法が「手術」なのだそうです。
どんな手術なのかとこれまたネット先生に聞いてみると、これがもう・・・頭を開けた所で麻酔から患者を醒まして、実際に楽器を弾いてもらって症状が出る所の脳組織を「焼き切る」事で、想いとは裏腹な動きをする指の動きを無くしてしまう・・・という物だそうです。
 
まじで・・・( ̄。 ̄;)
 
実際にこれで治るそうなのですが、副作用としてそれまで培った演奏技術も殆どがリセット、つまり無かった事になるようです。しかし、勘所は残るでしょうから、ずぶの素人に較べたら早く復活するのでしょうけど、結局上記の原因をまたたどる事が多いようで、再発してしまう人もいるようです。この手術、ホントに有効なのでしょうかね。医学的には治療になるのでしょうけど、音楽家としては治療とは言い難いような気がするのですが、どんなもんですかね。
 
さて、
そんな怖いジストニアという病なのですが、実際は楽器をやっておれば誰にでも起こり得る病気なのだそうです。そこで私は思いました。趣味でギターを嗜む身として、上記の発症条件と照らし合わせて、このジストニアをできるだけ避けるべくするには、何に気を付けるべきなのかを。
先に言っておきますけど、発症しても責任は持てません。
でも私が思った事を書き記しておきたいと思います。

1)コピー演奏は基本的にしないようにする。
まずはこれですね。好きな楽曲のカッコいい前奏とか間奏を聞くと、俺もやってみたいって思ってTAB譜を手に入れたり、耳コピしたりして出来るようになるまで一生懸命に「1)高度な演奏」を「4)反復練習」して「2)長い時間かけて」身に付けて「5)人前の緊張した所で弾いたり」しますよね(笑)。
どうでしょうか。こう書くとジストニアを起こさない方が不思議って思いませんか。CDやライブに収められたソロパートというのは、プロの人達がコード進行等も含めてあーでもないこーでもないと試行錯誤して創作されています。つまりそれだけ考えられていて高度なのです。だからギターだと指板上を縦横無尽に動いたり、もの凄い動きが入りますよね。で、それを練習して弾けたら、そりゃカッコいいですよ。ルパン三世のテーマとか、TRUTHとか、カノンロックとか一曲丸ごとコピーできたら最高ですよね。しかし、ジストニアのリスクを冒してまでそれらが出来るようになったとて、それを褒めてくれる人は実はそれほどいません。趣味でやっているならなおさらです。結婚式の余興でやれば盛り上がりはしますけど、そこまでです。だからコピー演奏は止めた方が良いです。飽くまで自分のオリジナルで、自分のセンスで即興演奏するのがよいです。はっきり言ってギターの音を鼻歌で歌う人なんていないんだから・・・。ちなみに、弾けば弾くほど弾けなくなってゆく。どうしても同じ所で躓いてしまうって人は、ジストニアの初期症状が出ている可能性がありますので注意してくださいね。
 
2)自分まで興奮しないようにする。
楽器演奏者というのは、ボーカリストも同じなんだけど、観客と同じようになって興奮してはいけません。心の中は冷徹に、ただただ観客を興奮させる音を奏でるのが楽器演奏者の真髄だと思います。これは私が言っているのでは無く、昔々にバンドでベースを担当されていた方に聞いた事です。ステージで走り回ったり、ギター背負って弾いてみたりと、暴走しているかのような事をする事もあるけど、あれはあくまで観客にノって貰うための演出であって、僕たちは決して自分を見失っておらず、演奏はきちんとやっていますよと仰っていました。うーむ、さすがバンドマンです。実際に自分まで興奮してしまうと、難しい演奏なんて出来なくなってしまいますもんね。
 
3)基礎練習はウォーミングアップ程度ですませる。
日本人はとかくマジメなので基礎が大事だと言う事で、とにかく基礎練習を大事にしますよね。ギターだと恐らく6弦5フレットを起点にしたクロマチックでの運指の練習と、オルタネートピッキングを兼ねた反復練習を暇があったらやるって感じでしょうか。これもジストニアという病気の観点からすると私は危険だと思います。私はせいぜい1往復か2往復したらやめて、もう曲を流して実践で頭と指を温めます(笑)。元々基礎練習が嫌いだし、趣味でそこそこ弾ければ良しとするなら、リスク背負ってまで一生懸命やることでは無いと思います。クロマチックを1回やったらペンタを1回やって終わりみたいな。違うパターンのをやった方が良いですね。その方が感性も磨かれるような気がします。
 
4)同じ曲を何度も弾かないようにする。
私は、iPhoneに入っている曲を、次々にかけていって、その雰囲気に合わせたスケールやコードを弾いて遊んでいます。基本的に同じ曲は1日に2度はやりません。マンネリ化してきたらiPhoneに別の曲を入れます。表示されるコード群からキーを読み取って即興でのソロを弾いたり、パワーコード、トライアド等を自由に入れてみたりと言ったことをやっています。もはや楽曲はコード進行をやってくれるだけのもので、別に好きでもない曲でもかけてやってます。最初はめったくそですが、気にせず毎日やっていると、指板にコードが見えてきたりして、はっきり言ってめっちゃ鍛えられます。このコード進行ならこの音が使えるとかも分かってきますし、カッコいい必殺の音(笑)とかも分かってきます。私がYouTube先生から教わるのは、やり方だけです。TAB譜とか表示されて練習とかしません。やり方だけ分かったらiPhoneで適当な曲をかけて実戦貼りに弾きながら練習します。知らない間にそれなりに弾けるようになってたりします。こうすることでソロ演奏の感性も磨かれますし、何よりも反復したり高度な演奏を無理してやったりすることもないので、ジストニアを極力避けられるのかなと思ったりしています。
 
とりあえずは以上ですかね。
ただ、もう一度言っておきますが、万一ジストニアを発症したからと言っても責任は取れません。人によっては将来の夢を奪う恐ろしい病気だとは思うのですが、私は趣味で嗜む人を対象にして言っています。全ては自己責任の世界です。ただ、こういう病気があるよ、こうすれば避けられるんじゃないですかと言っているだけです。多分に精神的な物が要因に含まれるので、個人差が激しい病気でもあると思います。
それと同時に、私の経験的に面白くもない基礎練習なんてすっ飛ばして、とにかく自分の出来そうなことからやって、そこから演奏の幅を広げてゆく方が余程楽しいという提言もしています。特にギターは何歳からでも始められて、特に勉強もしなくてもそれなりに出来るようになる唯一の楽器ではないかと私は思っています。だって、普通は学校へ行きたくないからギターを弾いて身を立てようと考えるんだもんね。これはかのチャーさんも仰ってました。
それでは、皆様も腱鞘炎とジストニアには気を付けて、楽器を楽しんでくださいね~。
 
うーむ、今回は写真とはおよそ関係ない話だったぜ。