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そう言えば「ポートピア連続殺人事件」・・・。

そう言えば、前回のドラクエウォークの最後の方で、しれっと「ポートピア連続殺人事件」とのコラボの予告がありましたよね。
あれ何なんだろう。まぁドラクエも物語なので、同じ物語ゲームとなっているポートピア連続殺人事件も、取り入れようと思えば入れられるんだろうけど、この現実の世界とファンタジアな世界の融合はどうやって仕切るんだろうね。
 
ちなみに、ポートピア連続殺人事件というゲームは1983年、つまりドラクエがこの世に出来る数年前に堀井雄二氏が手がけたアドベンチャーゲームだ。紙芝居のように物語が進んでゆくのだが、その画面の中には殺人事件を解くヒントや謎解きが散りばめられており、実際に火曜サスペンス劇場のように、あっちへ行ったりこっちへ行ったりしながら事件を解決に導くという物だ。こういうのを総じてアドベンチャーゲームと当時は言ったのです。
ポートピア連続殺人事件は堀井雄二氏の名前をゲーム業界の中で一躍スターダムに押し上げた作品と言って良いだろう。物語としては多少の強引さや無理もあったが、一応はサスペンス物として纏まってはいる作品だ、とは言え、実は推理小説ではやっちゃいけない事をやっている作品でもあるんだけど・・・うーむ、まぁギリギリセーフなのかなぁ・・・。私的にはアウトだったなぁ。あとね、カセットテープ版ポートピア連続殺人事件ってのもあったんだよ。実際にどんな風にゲームを進めてたんだろうね。

で、勢いに乗る堀井氏はこの翌年に「北海道連鎖殺人・オホーツクに消ゆ」をリリースする。後述するが、はっきり言って私は堀井雄二の推理ゲーム三作の中では、この作品が突出しての傑作だと思う。取材も丁寧にされており、物語が非常に練られて完成度が断トツに高いです。個人的に今でさえ、スペシャルドラマで実写版を作って欲しいと思うほどの内容です。BGMも格好いいですしね。乗ってる車もAW11のMR2というから泣かせますねぇ。
 
で、その翌年にリリースするのが「軽井沢誘拐案内」です。
これは私は途中で面倒になってやめちゃったんですが、今やると新鮮な気分で出来るのかも知れませんね。後発ではありますが、内容的にはやはりオホーツクに消ゆが上だと思います。
 
これらが堀井雄二氏の推理ゲーム代表三作なのですが、普通のゲームとしても「いただきストリート」という当時としては超人気代表作をリリースしています。この4作で完全にスターダムにのし上がったところへ中村光一氏、すぎやまこういち氏、鳥山明氏らと組んだ「ドラゴンクエスト」のリリースへと繋がってゆきます。
 
以上が粗方の紹介なのですが、1983年リリースの「ポートピア連続殺人事件」はその年が示す通り、今ドラクエウォークをやっている若い方は、名前だけは知っているけど内容は・・・という方が多いのではないでしょうか。なぜポートピアなのかは堀井氏が兵庫県のあの辺りの出身の方だから、駆け出し時代で予算も少ない中、取材がし易かったんでしょうね。ちなみにポートピアは81年に開催された博覧会の通称名です。正確には神戸ポートアイランド博覧会なのですが、ポートピア'81と俗称したんですね。ゴダイゴもその名前で博覧会のテーマ曲を出してました。だから本当は埋め立てエリアの名前を取って「ポートアイランド連続殺人事件」とするのが良かったと思うのですが、まぁそれは蛇足の話なんです。先述しましたがこのポートピア連続殺人事件の話は、実は推理小説の作家業界では「やってはいけない事」をやっちゃってるお話だったりします。
それは有名なので言っちゃいますが「犯人はヤス」だからです。
ヤスの本名は「真野康彦」。物語の中の刑事役で、主人公であるプレイヤーの横に常に付き添って部下として下働きをしてくれます。
このヤスこそがこの物語の真犯人なのですが、これってやっちゃいけないって言われているんですよね。
例えば、トラベルミステリーの西村京太郎氏の作品で言うと十津川警部の片腕役である「亀井刑事」が犯人だったり、和久俊三氏(山村美紗氏)の京都殺人案内だと音川音次郎の上司である秋山課長が犯人だったり・・・という、要するに調べる側の「主キャラ」を犯人にしてはいけないという推理作家の暗黙のルールがあるのです(西村京太郎の特急富士殺人事件に出てくる橋本豊は最初からその体なのでOKです)。特に解決する主役を犯人にするのは完全ルール違反だったりします。そう言う意味では「犯人はヤス!」というのは、調べる側の主役ではないと言う点で評価が分かれるところだとは思いますが、私的には・・・すいません、アウトですねぇ。なぜならヤスは本当に下働きに専念してくれるキャラだからです。逆にそれが災いしているんですね。ヤスが物語の中で、度々怪しい行動を取ったりして伏線を引いていたらセーフだったと思います。
なので、ゲームとは言えラストシーンにさしかかり「犯人はヤス!」って判明した時、「解決したぜ!」という喜びと言うよりも、これってアウトじゃないか?という気持ちが先に来てしまい、何となくすっきり感というか、解決感を削がれてしまった記憶が今も鮮明に残っています。と言っても、堀井氏は推理作家ではありませんからそのタブーを知らなかった可能性が大きく、ゲームクリエイターとして純粋に意外性と面白さを求めて「犯人はヤス」にしたんだと私は解する事にして納得する事にしています。
 
そのポートピア連続殺人事件とドラクエウォークとのコラボ予告。
本当にしれっとやってましたけど、どうやるんだろう。
堀井氏もいるし、出典もエニックスなので版権は問題ないとしても、現実世界と仮想世界のお話の融合って・・・。ポートピア連続殺人事件でドラクエの魔法とか使ったら、新たな犠牲者が出ると同時に、あっという間に事件が解決するんじゃね?とか思ってしまいますが、まぁ期待はしておきましょう。
 
 
・・・・・・ホンマ、マジでやるんかいな・・・。(笑)