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どうなんだろうなぁ・・・という写真。

一つの被写体を前にして、昔は結構意識していたが、今は別の意味で意識している物がある。それは水鏡。
そこそこ経験のあるカメラマンなら、必ずと言ってよい程利用していると思われる。でも、申し訳ないんだけど私は実はあまり好きではないんだよね…。

とりあえずこんな感じの写真。
ファイル 16-1.jpg

風景が水鏡に反射するから、ちょっと洒落た風合いになるのは分かるんだけど、その分だけ引きで撮る事になるので被写体がどうしても小さくなってしまい、伝えたい内容が被写体その物から遠ざかってしまい、水面を境にしたシンメトリーな風景を主張してしまう事になってしまう。多くの純粋な閲覧者は、それが素晴らしいと派手な写真に見えるのかも知れないが、私にはそうは映らないんですよね~。
昔、私もそのような写真を撮ったが、師匠に「くだらない。」と一蹴されてしまったというトラウマと言うか、心理的な植え付けをされてしまったせいもあるのかも知れないが、あの時「くだらない。」と言った師匠の言葉が、今は何となく分かる自分がいる。言い方に語弊があるかも知れないが、それを恐れずに言うと、

「私は、こんな視点も持ってるんだぜ。すげぇだろ?」

っていう、如何ともし難い主張を感じてしまうのだ。いや、主張と言うよりも、閲覧者に対する点数稼ぎというか、媚びというか…。本来撮りたい、主張するべき被写体の姿を小さくしてまで、水鏡の効果を入れてシンメトリーにする程のもんですかね?という気分が先に来てしまう。
だから私は手前に水盤があると、別の意味で意識してしまうのだ。っていうか、基本的にあまり使わない。仮にフォトコンの審査員になったら、まずそういう写真は選ばないし評価もしないでしょうね。
ファイル 16-2.jpg

そのだいぶ後ではあるが、師匠に水鏡を使った1枚の写真を見せてもらった事があった。内容は企業秘密なので言えないが、衝撃的だった。こんな使い方があったのか…と。

「手前に池や水盤があるからといって、何でもかんでも写し込んで撮るもんやない。そんなのは目の前にニンジンを吊された馬と一緒で、アホの一つ覚えのすることや。写り込んだ物までが被写体になっているという、効果をきちんと考えて使え。」

と言われたのは、今も記憶に焼き付いている。
あれから30年近く経つが、未だあの写真のような場面には出くわしていない…。でも、いつかは撮りたい、あの水盤を使った奇跡のような写真を…。
申し訳ないが、水盤に写し込んだ風景画は、それまでは私には点数稼ぎの幼稚臭い写真にしか見えないのです。
今日は3枚程、そんな私の写真を例として載せましたが、どれも私にはそういう扱いをしています。
ファイル 16-3.jpg