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不幸中の幸いという事。

先日、知人からレギュラーで使っているノートパソコンに水がかかってしまい、電源が入らなくなったので見てほしい、できればデータを抜いて欲しいと頼まれ、私にどうにかできるもんかな?等と思いつつ件のノートパソコンを預かりに行った。
ノートパソコンは15inchワイドモニターのそこそこ良いやつのようだった。持ち回って家と仕事場の両方で使っているのだという…。
早速手に取って見てみると、ノートパソコンの右側が何やら水あめのようにネチネチした液体が染みつくように纏わりついているのに気が付いた。「水がかかった」と聞いていたのだが、もしかしてと思い再度聞いてみると…

「生姜の甘露煮とノートパソコンを袋に入れて移動した所、甘露煮の汁が漏れ出していて、ノートパソコンの右側に鞄の中で浸かっていた。」

というのが正確な状況だった。
聞いてたのと、全然状況が違うやんけ…。(-_-;)

よく見てみると、ノートパソコンの右側2cm位の範囲で、ねっちょりとシロップのようなお汁が纏わりついているのが確認できた。
それにしても、ノートパソコンと甘露煮を一緒の鞄に入れて運ぶとは、ガサツにもほどがある話だ。
「電源が入らない」との事だったので、とりあえず電源ボタンを押してみると、確かに電源が入らない…ように素人目には見えるだろう。しかし実際は電源は入っており、画面の表示がされていないように見えた。が、更によく見ると薄っすらと表示もされている。
つまりはPC本体内へのシロップの浸潤によって基盤に何らかの影響をし、液晶モニターのバックライトが付かなくなっている状態だった。しかしよく見ると液晶の右下に丸く液体の浸潤痕があったので、どうやら液晶ユニットがやられているのは確定的だった。
これで修理代は4~5万確定だ。
PC本体側の右側にはオーディオ端子とUSB端子があり、その手前にはDVD光学ドライブがある。光学ドライブもシロップが入り込んでいるが、ネジ一本で外れるしパソコン本体機能には影響しない。問題はUSBとオーディオ端子の部分だが、15inchノートパソコンの場合は、大抵はこの分はメイン基板とは別になっている…事が多い。つまりシロップは入り込んでいるが、これまた本体機能には影響しないと割り切ることにした(笑)。
残るご希望のデータのサルベージだが、本体が生きているようなので、ハードディスクの抜き取りを止めてPC本体の左側にあるD-Sub15の端子に別のデスクトップPCのモニターをつなげて改めてノートパソコンを起動した所、思った通りパソコンは正常に起動し、デスクトップのモニターにも表示された。マウスもキーボードも正常に動作するので、本体左側にあるUSB端子に外付けHDDを接続して難なくデータのサルベージを完了することができた。

とりあえず、頼まれた事はできたのだが、できればノートパソコンの中身がどうなっているかを見て、修理ができるものかどうかを判定してほしいと追加で頼まれてしまった…。
先述の通り液晶モニターがヤラレてしまっているので、これだけでも4~5万するよと言ったが、まだ新しパソコンなので買うより安いなら修理したいというのだ。気持ちは分からないでもなかったので、今度は預かって自宅でバラして本体内を吟味してみる事にした。
が、その前に事務所の24時間稼働させているサーバーが、電源故障でダウンしている事を思い出し、まずはサクッとこちらから直そうという事で、サーバーを机の上に出して、使い古しだったが動く電源ユニットに取り換えた。サーバーのスイッチを入れると動き出したので、アイスコーヒーでも入れながら暫く様子を見て、何事もなかったので電源を落とし、サーバーを棚に戻して再び電源を入れて復旧させた。このサーバーが動くと、自宅のメディアPCとのVPN接続も復旧するので、自宅のPCの遠隔操作や、録画したテレビ番組等も事務所で見る事ができるようになるのだ。(^^)

さて、サーバーが復旧して、事務所に活気が戻ったところで、預かってきたノートパソコンを早速バラしてみる。
本体裏面のパネルが一体になっているモデルなので、ネジを全部外してパカっと外すと、パソコンの内部が露になる。当然右側はシロップでネチネチ…だが、幸いにも当初から思っていた通り、オーディオとUSBの右側基盤はメイン基板とは別だった。
ファイル 115-1.jpg
しかし、見ての通り泡を吹く程に酸性のシロップにやられてしまっている。この基盤は丸ごと交換になるだろう。その上に見える黒いスピーカーはシロップが付いてはいるが、洗浄剤で吹けば問題はなさそうだ。メイン基板から伸びている平ケーブルは2本とも端子がシロップ浸潤でアウト。
DVD光学ドライブも当然アウトなので交換となるだろう。
ファイル 115-2.jpg
後は液晶モニター部との接合部、写真で確認できるようにべっとりとシロップが付いているが、これも洗浄剤で除去すれば大丈夫だ。本体側はUSB、オーディオ基盤と光学ドライブの交換で解決しそうである。シロップに浸かったのがパソコンの左側であったのが不幸中の幸いであったと言えるケースだ。

しかし…

一般的に液体、水没系の修理はメーカーはやりたがらない。なぜなら万一水没個所の見落としが基板上にあった場合、最悪は発煙、発火を起こす可能性があるからだ。これが単なる故障とは違うところであり厄介なところなのである。このノートパソコンも修理見積に出すと、内部部品全交換または「修理不可」で戻ってくる可能性が高い。
それでも使いたい!無駄にしたくない!という場合は、光学ドライブを交換し、基盤、スピーカー、、平ケーブルを除去して液晶モニターのユニットもヒンジから取り外してしまい本体だけの状態にして、デスクトップ用のモニターにD-Sub15端子で接続してやれば、デスクトップPCのようにはなるが、使い続ける事は可能である。

さて、どのように説明しようか…。

等と思案六歩していると、何だか焦げ臭いにおいが鼻についたので、思わず咄嗟にノートパソコンの電源を抜いてバッテリーを取り外した。
「考えてたそばから、いきなり発火かいな…。こりゃ延命も無理だな。」
等と結論を出した所で、もう一杯コーヒーを飲もうと部屋を出たところ………!!

「なんと、煙が廊下に立ち込めているではないか!!」

隣の居間にまで煙が立ち込めて、よく見ると今まで作業していた私の部屋の天井にも煙が立ち込めていたのだ!!
何だか焦げ臭かったのは、ノートパソコンではなかったのである!!

電気が漏電し、基盤が焦げる独特の臭気だったので原因は、先刻電源を取り換えたサーバーであるとすぐに分かったので、慌ててコンセントを引っこ抜いた。
幸いにも火は出ていなかったが、コンデンサーが溶けた煙の臭いは独特でクサい。換気扇を回して各部屋の窓、玄関を全開にして煙と臭気を追い出した。

煙が抜けて、臭いも落ち着いたところで、再びサーバーを机の上に引っ張り出して中身を見てみた所…。
どうやら原因はホコリで4pinコネクターの中でショートしてそのまま焦げ落ち、ショートのショックで電源内部もショートを起こし、コンデンサーが溶融して発煙に至ったようだった。
ファイル 115-3.jpg ファイル 115-4.jpg
使い古しの電源ユニットという事もあって、電源を交換したのちにしばらく様子を見ていたが、やはり数分間では結果は出ないと勉強させられた出来事だった。それにしても発煙経験はこれで2度目だが、いづれも4pinコネクターのショートが原因だった。さらに4pinコネクターがPCケース内部の金属部分に触れていて、電源ONと同時に電源がお亡くなりになってしまった事もある。4pinコネクターは、パソコンではもはや過去の遺物となりつつあるものだが、電源ユニットには今もって3つ4つ付いているのが現状だ。とかくトラブルとなりやすいイメージが昔からあるが、これで確信に変わった。接続しない4pinコネクターはカバーをするか絶縁しておくのが良い。
ファイル 115-5.jpg
発火がなかったのでサーバー本体内は軽症で済んだが、メイン基板のメモリ取り付け部の一部が焦げて溶けてしまっていたので、こんな事もあろうかと当時買っておいた予備のメイン基板(古いけど新品!)に取り換えて、電源ユニットも新調し、今は何事もなかったかのように復旧しております。
それにしてもアセりました。火事にならなくてよかった…。
これこそが、不幸中の幸いってやつですよね…。(-_-;)