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フィルムからデジタルデータへ。その2

原版があって、それからコピーする形で同じ物をもう一つこしらえる事を「デュプリケート」と言います。業界用語では「デュープ」と言ってました。で、デュープを行う機材の事をデュプリケータと言いますが、今はCDやDVDを大量にコピる機械の事もそう言うので、フィルムデュプリケータと呼んで、区別する方向にあるようだ。
で、
本来のデュープと言うのは先述の通り、ネガからネガ、ポジからポジをコピーする形で起こす事だった。しかしデジタルな昨今では、先日も話題に出したネガフィルムからパソコンなどで見られるデジタルデータに起こす作業も、実はデュープと同じ工程になるので、今はこれもデュープと呼んでも指し付けないのかも知れません。と言うとちょっと混乱を招くかな…。でも実質同じと思って読み進めてもらうと、何か参考になるかも知れませんね。それと、普通デュープはポジからポジで行います。ネガデュープというのは、私の記憶では依頼を受けた事がなかったし、確か依頼している人を一度見掛けたっきりですね。ネガデュープって…って思いましたし。笑

デュープと一言で言いますが、実は2種類あります。
ロールデュープとシートデュープ。
どう違うかと言いますと、ロールデュープというのは、原版を専用のスレーブに固定してバックライトを当てて固定したカメラで複写撮影してゆく感じ。バックライトは色温度が調整出来るようになっていて、原版と近い色味になるように出来るようになっている…のだが、実際は、そう上手くは行かないわけで、結構雑な仕上がりである事が多かったような気がします。カメラで複写する形になるので、仕上がりは35mmフィルムがズラッと繋がった状態になります。だからロールデュープって言うんですね。メリットは、1枚単価が安い事。当時550円でした。今思うと結構高いっすね。

一方のシートデュープは、所謂フィルム焼きです。紙焼きと同じ工程で、原版を焼き付け機にセットして、イーゼル上にあるフィルムに等倍で焼き付けをします。当然、仕上がりは圧倒的にロールよりも綺麗です。反りもありませんしフィルムの厚みもあります。原版よりも品位が高いようにも見えますね。4x5とか8x10のシートデュープなんて言ったら、もう感動する位に綺麗で、原版と見分けが付かない位です。ただし超エクスペンシヴです。1コマ1350円していましたね。あ、ロールもシートも業者価格だった。まぁ、昔の事だし良いよね…。笑
5コマまでの依頼の場合は、有無無くシートデュープになり、安いロールは6コマ以上というのがルールでした。今はどうか知りません。
さて、なぜこんな話を持ち出したかと言いますと、ペンタックス様がこんな面白い物を売り出したから…。

http://www.amazon.co.jp/%E3%83%AA%E3%82%B3%E3%83%BC-30100-RICOH-PENTAX-%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%AB%E3%83%A0%E3%83%87%E3%83%A5%E3%83%97%E3%83%AA%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC/dp/B00JOCVZEK

名付けて、フィルムデュプリケーターW/M30100と言う物らしい。
カメラをセットして、蛇腹を挟んでフィルムをセットして1コマづつ撮影してゆくという工程でネガやポジからデジタルデータを起こしてゆくという機材になるようだ。ネガの場合は恐らくレタッチソフトなどで反転してポジ化するのだろう。
仕組み的にはロールデュープの機材という事になりますね。しかし…112000円ってもの凄い値段ですね…。そんなに元手が掛かっている機材とも思えませんけど?部材にプラチナとかダイヤモンドでも使っているのでしょうか?ベルボンのマクロスライダーを見習えよ…。
まぁ値段はともかく、使いようによっては今あるフィルムスキャナーよりも綺麗に出来るのは間違いないでしょう。だってピントを合わせるのが事実上人間だったりカメラのAFなので…。
気を付けなくてはいけないのは、フィルム側のバックライトに相当するライティングですね。蛍光灯下でやるのと、窓から入る太陽光下では、光源の色温度が違うので、さすがにデジカメのホワイトバランス制御が優れていると言っても、やっぱり色が違ってきますので、暗い部屋で決まった光源を使って、仕上がり具合を見ながらやるのが宜しいでしょうな。ヘタな一眼レフカメラよりも高いと言う、少々マーケティング的に失敗の予感がする機材ではあるが、今まで無かったのが不思議な感じのする機材でもあります。
ちなみにこのようなロールデュープの機材は、意外に簡単に自作が可能だ。

カメラを下向きに固定出来る複写台。(LPLのが安いね)
B5サイズ位のバックライトユニット。(ヨドバシで売ってる)
50mmのマクロレンズと中間リング。
ポジを挟む透明ガラスを2枚。片方をテープで留めると良い。これ、コンタクトガラスって言って、昔はKing辺りから売ってたんだけどな。

これでOKです。マクロレンズに拘らなければ到底10万円もかかりません。中古の標準マクロで充分ですし、今持っているレンズにマクロがあればそれでOKかと…。要は画角一杯に35mmネガが写り込む位近づければOKなんです。
バックライトをどうしても買いたくないという人は、パソコンのモニターを上向きに置いて、白一色を表示させましょう。笑
これで、そんじょそこいらのフィルムスキャナよりも綺麗に仕上がるポジ起こしが出来るはずです。とりあえず、均一な透過光が用意出来ればOKです。
AFが使えると思った人は、まだまだアマちゃんだね。
中間リングで半端なく暗くなるので、AFは効きません。って言うかどうせ手動で合わせるので電気接点のない安い物を買いましょうね。3個セットでも1000円しませんから…。
欲を言えば、マクロスライダーがあると、ピント合わせが楽でしょうね。シャッターブレしないようにするのがミソかな。あくまで、綺麗に…と言うのをテーマにしたポジ起こしの方法でした。
ちなみに、実際にやったけど上手く行かなかったという事は、何かが足りないという事です。がんばれーーー!