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最近の傾向というか・・・。

最近の写真を見る側の人間の流行なのかな。

ちょっと前なら、
ファイル 56-1.jpg
こんな感じだったり、

ファイル 56-2.jpg
こんな感じの写真で充分だったんだけど、

きょうびの傾向として、持て囃される写真の多くが、
ファイル 56-3.jpg
こんな感じであったり、

ファイル 56-4.jpg
こんな感じの写真だったりなんかする事が多い。

「HDRは時代的に必須になりつつあるのかも・・・」

何て言うキャメラマンも出てきそうなんだけど、すいません、後の2枚はHDRではないんです。
HDRというのは知っての通り High Dynamic Range の略で、1枚の写真で光学的に表現が可能である明暗の範囲を、暗い写真から明るい写真まで複数枚撮った物を合成して、デジタル処理によってその範囲を広げた物だ。要するに、雲を出そうとすると、微妙な影の部分が暗くつぶれてしまったり、逆に影の部分を出そうとすると、空が白く飛んでしまったり・・・というのをどちらもオイシくいただくというデジタル加工という事になります。

ちなみにHDR処理の場合は、こんな感じになります。
ファイル 56-5.jpg
ね?
ちょっと違うでしょ?
重く暗い雲の質感と、手前の植え込みの木の陰の部分が両立しています。絵面は超絶的な感じになりますが、目が慣れてくると割かし普通に見えてくる程度に処理をしています。ダイナミックレンジはカメラよりも人間の眼の方が広いので、程よいHDR処理は、慣れると自然に見えてくるんですね。
で、その前の2枚は一体何かと言いますと、輪郭強調という加工を行っています。彩度も上げているのでHDRのように見えるんですが、印影部分のつぶれ具合や白の飛び具合は補正されないのと、カリカリ感というか、画像にざらつきを感じるのが特徴です。そのざらつき感をキャンセルしたい場合は、デノイズ処理というのを行う事で、ヌルヌル感を醸し出す事ができます。東京駅の2枚目はそれを行っていますので、よく見てみてください。
私はいづれの処理にも専用のソフトを使用していますが、時間をかければPhotoshopその物の処理でこれらを実現する事が可能です。
それにしても写真もデジタルという時代になって、段々と光との戯れ・・・という感じが薄れてきているように思う昨今です。既に数年前に輪郭強調やHDRの写真は私も公表していますが、当時はそれ程話題にもならず、どちらかというと異端視された感の方が強かったですね。
「へぇ~、で、どうよ?」
ってな反応です。
それが今や、斯様な加工をされていないと、普通の絵面では話題になる物もならないというご時勢になったもんだから、私的には何と申して良いか・・・。何が良いとは言いませんが、確実に言えるのは、撮影3割加工7割の時代なのでしょう。大衆に受ければ体勢はそちらへなだれ込むのが世の常ならば、写真は一体これから、どのように変遷してゆくのか、もう少し長生きしてそれを見てゆきたい気分満々な小生であります。